医者は男性の職業だと考えられていた19世紀のアメリカで、苦労して医学校に入り医師になった女性が主人公のミステリー。フェミニズム的な主張の強いストーリーで、主人公が男性優位の医学界で差別に負けず奮闘する姿を描くのに多くの頁が割かれている。それはそれで悪くはないけど、ミステリーとしては普通かな。
エドガー賞とマカヴィティ賞の新人賞にノミネートされた(受賞はしていない)そうで、手堅くまとめているとは思うけど、全体的に地味で登場人物がやや個性に欠ける気がする。主人公も女性医師として頑張っている立派な人物なんだけど、人間的な魅力があまり感じられなかった。ストーリーは良くできていて読みやすいし、決してつまらなくはないのだけれど、この作家をもっと読みたいとは思わないかなあ。(新人作家でまだこの1作しか書いていないけど。)もっと面白い作品を書いていて翻訳されていない作家が他にいると思う。
翻訳小説界ではエドガー賞やゴールド・ダガー賞の関連作がよく刊行されていて、受賞作だけでなくファイナリスト止まりの作品まで出しているけど、NY Times のベストセラーリストで何週間も1位になっていて色んな国で翻訳が出ているような小説が出ていなかったりするのは片手落ちではないかしら。
ちなみに2025年のエドガー賞の受賞作はこちら この中からまた翻訳がたくさん刊行されるでしょう。

