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闇より暗き我が祈り S A コスビー

My Darkest Prayer: A Novel (English Edition)

My Darkest Prayer: A Novel

  • Cosby, S. A.
  • Flatiron Books

 

 この作家のデビュー作で、大ヒットした「黒き荒野の果て」の前に書かれたもの。原書は当初マイナーな独立系の出版社から刊行されたけれど、「黒き荒野~」が売れた後に大手出版社が再販したらしい。私はこの作家は「すべての罪は血を流す」しか読んでいないけど、それと比べると作風がだいぶ違うように感じた。それでも上手いのは確かで勢いのあるストーリーに引き付けられたし、キャラクターも特徴的でとても面白かった。

 「すべての罪~」はかなりシリアスな作風だったけど、この「闇より暗き~」は残虐な犯罪を描きながらも笑える場面もあり、ユーモアが感じられる内容だった。デビュー作でも文章の上手さが際立っていて、表現力が抜群で比喩も面白く、何でもない文章を読んでいるだけでも退屈しなかった。ただ時々下ネタがキツすぎて笑うに笑えない場面があり、品格を下げているような気がしたので、多分この下ネタを封印して次作で一流作家の仲間入りを果たしたのではないかしら?

 主人公は元海兵隊員で、退役後は保安官補になったけれど、保安官事務所の腐敗ぶりに嫌気がさして辞め、今は親戚の葬儀屋の従業員として働いている。本当にこんな不正がまかり通っている保安官事務所があったら恐ろしいわね。

 教会の牧師が殺害される事件が起きるけれど、保安官事務所は碌に捜査もせず自殺で片付けようとしていて、主人公が独自に調べているうちに牧師の秘密が明らかになっていく。なかなか凄い事件でこんな聖職者がいるのかと驚かされ面白かった。主人公はかなり癖のあるキャラクターで、暗い一面もあるアンチヒーローなところも興味深くて気に入った。この作家の良さがわかってきたので未読の2作もそのうち読んでみよう。

 

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