この作家はここ数年海外でとても人気があり、ベストセラーリストの上位に同時に複数のタイトルが入っていたりするのを目にしていたので、どうしてどこの出版社も翻訳を出さないのかと思っていたけど、やっと刊行されて良かった。シリーズの次作も12月に出るようだから、このままどんどん刊行してもらいたいわね。原書は2022年の発売で、この年はニタ・プローズの "The maid" (「メイドの秘密とホテルの死体」)とこの作家の "The housemaid" (本作)がヒットしてメイドものがちょっとしたブームになっていたけど、Goodreads Choice Award や Amazon の Best Mystery で1位だったのはニタ・プロースのほうだった。でも今回「ハウスメイド」の翻訳が出たので2作を比べてみると、ミステリーとしてはフリーダ・マクファデンのほうが面白いと思った。
前置きが長くなってしまったけど、これは傑作だわ。こういう女性が主人公のドメスティック・スリラーが好きなので割とたくさん読んでいるけど、ここまで面白いのはなかなかないと思う。(早く読みたかったけど、地元の図書館の予約の順番がなかなか回ってこなくてやっと借りられた。)
前科があり仮釈放中のミリーは、ダメ元で応募した住み込みのメイドの仕事に奇跡的に採用され働くことに。雇い主は金持ちの夫婦で、夫のアンドリューはハンサムで優しいけれど、妻のニーナはサイコパスのような言動でミリーを虐げて・・というストーリー。ミリーの過去に何をして服役することになったのかや、結婚した当時は優しい女性だったというニーナがどうしてこんな風になってしまったのか気になってどんどんページをめくっていると、昼メロのようなドロドロした展開になって面白すぎる。
ネタバレ→(まあ、こういうのは良い人そうに見える夫が怪しいと相場が決まっているから、アンドリューが何か企んでいてニーナを薬漬けにしてるんじゃないかと思いながら読んでいたので、だいたい予想どおりだったけど、ニーナのほうが一枚上手で、裏で色々と糸を引いていたのが凄い。)
あまり間を置かずに次作を刊行してくれるので有難いわね。このシリーズは今のところ長編3作と短編1作が出ているけど、この作家はそれ以外に単独作もたくさん書いていて面白そうだから翻訳を出してくれないかなぁ。これは以前別の記事にも載せたけど、 Goodreads で過去3年間に人気のあったミステリー75冊の中にこの作家が8冊も入っていることからも人気が窺えると思う。
Readers' 75 Most Popular Mysteries & Thrillers of the Past Three Years
日本の出版社は海外ミステリーに関してはエドガー賞やゴールド・ダガー賞の関連作をノミネート止まりで海外でもそこまで売れていないような作品までやたらと熱心に刊行しているけど、それよりもベストセラーになって色んな国で翻訳が出ているようなこういう作品をもっと刊行してほしいわ。
映画化されて全米で12月に劇場公開予定。日本でも公開するかな?


