ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

真鍮の評決 マイクル・コナリー

 リンカーン弁護士シリーズ2作目。先日感想を書いた「潔白の法則」は最新作なのでネタバレに気を付けてあまり内容に触れないようにしたけれど、これはだいぶ前の作品で既に読んでいる人が多いと思うのでネタバレありで。これから読むつもりの方はご注意を。

 

 

 これも良かったけど「潔白~」が面白すぎたので、比べるとやや落ちるかなあ。ハリー・ボッシュが脇役なのにかなり存在感を放っているので、その分ミッキー・ハラーがやや霞んでしまったような気も。ミッキーは以前、担当していた裁判がらみで銃で撃たれ、手術後の痛みのせいで鎮痛剤の依存症になり、弁護士を休業してリハビリ施設に入っていたという設定だけど、処方薬の鎮痛剤が薬物依存の入り口になるという話はよく読むので、実際そういうことは珍しくないんだろうね。(ドラマのDr.ハウスもバイコディンの依存症だったな。)

 陪審員の選定についてかなり詳しく書かれていたけど、この手の小説をよく読んでいる人なら既に知っていることなので、説明が丁寧すぎるような。(そのせいでストーリーの流れが滞っている気がしたので。)でも後々、陪審員に関してとんでもない問題が持ち上がるので、その伏線だと言えないこともないか。しかしアメリカの法廷サスペンスを読んでいると陪審員制度って問題だらけな気がするよねぇ・・。(それなのに日本は何故裁判員制度を導入してしまったのか。アメリカでは裁判をテレビで中継していたり、「ジャッジ・ジュディ」みたいなリアリティショーが人気だったりして裁判に関心を持っている国民が多いけど、日本では違うし。国民性を考えると日本人に裁判員制度は向いていないと思うわ。)

 ミッキーは、亡くなった弁護士の代理で案件を引き継いだにしてはかなり健闘していたけど、警官に向かって銃を乱射した犯人による別の事件が言及された時点で、これは発射残渣が転移した線で攻めるんだろうと予想がついてしまい、実際そのとおりの展開だったので、あまり驚きはなかったかなあ。残渣の転移は犯罪捜査もので割とよく出てくる事象だし、ちょっと前に読んだリーガル・スリラー(タイトルは失念)でも、依頼人から発射残渣が出た場合は、逮捕された時に警官から転移したと主張するとかなんとか言ってたのがあったな。

 決め手となる「魔法の銃弾」について予想がついていたので、そこまでおぉー凄い!という感じではなかったものの、ミッキーの弁護はかなり冴えていて、ドイツ人に関する情報を独自で調べて検察を負かすところとか流石だった。映画会社経営の超リッチな依頼人もなかなか食えない男で、弁護士を操ろうとする依頼人の上を行こうと奮闘するミッキーが良かった。さらに、同時進行で弁護士が殺された事件をハリー・ボッシュが捜査していて、その真相にはかなり驚かされた。ボッシュにおいしいところを持って行かれた感はあるけど、とても面白かった。

↑ドラマ化されてNetflixで配信中

4作目の「証言拒否」を原作とするシーズン2の製作も決定しているそうです。

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