Tony Hill & Carol Jordan 4作目。読み終わるのが惜しいくらい面白かった。シリーズの続きが翻訳されていないのが残念で仕方ない。
娼婦を狙った連続殺人事件はこの手の警察ものの定番だから、似たような話をこれまでにいくつも読んだけど、これは一捻りあってとても面白かった。真犯人が判明した時は驚愕したわ。ストーリーがよく練られていて流石。他に少年の誘拐事件も同時進行していてそちらも興味深い展開だった。トニーのプロファイリングも冴えていて大活躍だったわね。レズビアンの女性に対するトニーの考察がなかなか鋭いと思ったら、どうやら作者自身がレズビアンらしくて納得。
前作の潜入捜査でレイプされたキャロルは、やはり落ち込んでやつれ別人のようになっていて、溌剌とした彼女のキャラクターが好きだっただけに悲しい・・。それでも重大事件を担当する部署のチーフとして警察の仕事に復帰した彼女は、娼婦が殺害された事件を担当することに。しかし捜査は難航し解決の目途が立たず、部下は曲者ぞろいで部署をまとめあげるのも一苦労で前途多難。上司からは部下の女性警官を使っておとり捜査をするように言われるけれど、自分が捜査でレイプされた経験から部下を危険に晒したくないと葛藤する。復帰早々難題だらけで気の毒なキャロル・・。
レイプされたことで、せっかく前進したと思ったトニーとの関係もまた後退。この2人は本当にじれったいけどそこがいいのよね。キャロルは痛手を乗り越えるために、捜査で出会った地質学者の男性とデートして一夜を共にするけど、そのことを知ったトニーが嫉妬で悶え苦しむのよ。泣いたり地団太踏んで悔しがったり。実は激しい感情を内に秘めていたのね。キャロルが関係を持ったジョナサンは優しくて良い人なので、このまま三角関係になったら面白いのにと思っていたけど、キャロルがあっさり彼を振ってしまって残念。やはり彼女はトニーしか眼中にないのね。
久々にハマったシリーズでキャラクターに入れ込んでいたので、翻訳されているのを全部読み終えて軽いロス状態に。次は何を読もうかな・・。


