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北欧ミステリーは好きで人気作家は一通り読んでいるが、フィンランドの作家は初めて読んだ。被害者をチェスの駒に模した連続殺人というインパクトのある事件に引き込まれ、警察を翻弄する犯人の行動にハラハラさせられとても面白かった。主人公のミロはプロファイラーで警察のコンサルタントとして事件の捜査に協力している。この手の小説の主人公は私生活に問題を抱えているのが定番だが、ミロと妻の関係には絶句した。北欧の小説を読んでいるとオープンな夫婦関係に驚かされることがあるが、これは衝撃的だった。検死官の母親との根深い確執や、恐ろしげな過去のある継父の存在等、複雑な家族関係も興味深い。登場人物も多すぎず少なすぎず、脇役の警官たちもちゃんと描きわけられていて混乱することなく読めた。特にシングルマザーの刑事ミンカのキャラクターが気に入った。この作家は映画監督の経験もあるそうで、それが活かされているのか映像が浮かんでくるような文章で、展開もスピーディーなので非常に読みやすかった。反面、心理描写は少な目なのでそこは好みが分かれるかもしれない。個人的にはもう少し主人公の心理を詳しく描いてくれたほうが共感しやすいと思った。全体的にはとても良く出来たサスペンスでフィンランドの人気作家なのも納得。読みやすいので北欧ミステリーを初めて読む人にもおすすめできる作品だと思う。
こちらは少し前にNetgalleyで読ませていただきました。講談社さんありがとうございます。上記は出版社に送ったレビューです。
以下は補足
マックス・セークの作風は私が読んだ北欧ミステリの作家ではスウェーデンのラーシュ・ケプレルに近いかな。ケプレルのグロさを抑えて全体的にマイルドにしたような感じ。マックス・セークも良かったけど、やはりラーシュ・ケプレルには及ばないかなぁ。ケプレルのヨーナ・リンナのシリーズの新作が刊行されるのを待っているのだけど、扶桑社は最近海外小説の刊行が減っているので打ち切りだったら悲しいなあ。10作目の原書は2024年に発売済みなのにまだ翻訳が出ていないのよね・・。
フィンランドのミステリーは過去に何か翻訳されているのか調べてみたところ、2014年に集英社文庫からマッティ・ロンカの「殺人者の顔をした男」という作品が刊行されていた。ちなみにM・ロンカはフィンランド初のガラスの鍵賞受賞作家らしい。シリーズものなのに1作しか翻訳されなかったということはあまり評判が良くなかったのかな?タイトルがヘニング・マンケルのパクリみたいで何だかなあ・・。


