ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

凍った愛がとけるとき アメリア・アドラー

 

 扶桑社が珍しくロマンス小説の新しい作家を出してくれたのは良いけど、自費出版がメインのそこまで売れてなさそうな作家なので、あまり期待せずに読んでみた。悪くはなかったけど普通かな・・。

 ヒロインは美人で優しい非の打ちどころのない女性で、高校時代の彼氏が白血病で亡くなったことから看護師になり、仕事に情熱を注いで恋愛はもうしないと決めている。彼女が勤める病院に頭を負傷して運び込まれた男性がヒーローで、怪我は大したことなかったけれど記憶を失っていた。退院したけれど身元もわからず所持金ゼロで泊まる場所もない彼を気の毒に思ったヒロインは、自分のアパートの地下室に彼を滞在させてあげることに。ビリオネア・ロマンスというからには当然のなりゆきとして、ヒーローは実は大富豪だということが発覚するわけだけど、あまりにも定石どおりの展開でやや面白味に欠けるなぁ。綺麗にまとまっていてサクサク読めたけど、すぐに内容を忘れてしまいそう。ページ数も少なめで、新書版のハーレクインと似たような内容なのに値段は倍というのはちょっと高い。(版権料安そうな作家なのに・・・。)

 愛と希望あふれるストーリーが身上で、どぎつい描写はなく心地良く読める作品を書いている作家だそうで、確かに全く毒気のない読みやすいストーリーなので、ドロドロしたロマンスが苦手な人には良いと思う。

 扶桑社がここ数年で出した現代物ロマンスの新顔の作家は、ミア・シェリダン、マリアナ・ザパタ、アビゲイル・ストローム、どれも面白かったけど、アメリア・アドラーはそれらと比べると1ランク下の作家という印象。

 

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