ロマンス小説感想日記

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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

真夜中の愛撫 リサ・マリー・ライス

真夜中の愛撫 (海外文庫)

真夜中の愛撫 (扶桑社BOOKSロマンス)

  • リサ・マリー・ライス
  • 扶桑社

 

 ミッドナイトシリーズ最新作。この Women of Midnight 3部作は、ロマンスが全部同じパターンなのよね~。ヒロインは優れた頭脳を持つコンピューターの達人で、ヒーローは陰謀に巻き込まれた彼女を守るASI社のエージェント。強くてハンサムで何て素敵なの!これまでに付き合った軟弱男と全く違う!と、ヒロインがマッチョな彼にメロメロになり、ヒーローも、賢くて美人で性格も良くオマケに運動神経も抜群!俺の運命の女性だ!と恋に落ちる。ASI社がどれほど素晴らしい会社なのかも耳にタコができるくらい聞いたし、ASIも社員がどんどん増えて大所帯になりすぎた感があって、ミッドナイトシリーズをここまで長く続けなくても良かったんじゃないかという気もするわね。あとがきで訳者さんが、次はジェイコブ・ブラックのセキュリティ会社のメンバーを描くシリーズになるのではないかと予想しているけど、それだとまた似たような話になってしまうから、新機軸を打ち出してほしいところね。

 この作家のサスペンスはどんどん壮大な話になってきて、本作は何とアメリカが中国と戦争を始めるのをヒロインが阻止するという驚愕のストーリー。フェイク映像の拡散とか、興味深い問題を取り入れたり、サスペンスにかなり力を入れているのが感じられたけど、所詮ロマサスなので、敵が間抜けすぎて穴だらけの作戦でもなぜか成功するという・・。国家の危機レベルの凄い陰謀を簡単に阻止して突っ込みどころ満載なのよね。あまりに壮大な話だと却って嘘くさく感じてしまうので、初期の作品のような、もう少しこぢんまりしたサスペンスにしたほうが良いと思うわ。国家の危機はグレイマンやジャック・リーチャーに任せておけば良いじゃない。

 それでも突っ込みを入れながら楽しく読んだけどね~。こういう正統派のロマサスは今ではあまり翻訳されなくなっているから貴重だし。新しいシリーズも期待してます!