ロマンス小説感想日記

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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

ザ・ロング・サイド ロバート・ベイリー

ザ・ロング・サイド (小学館文庫 ヘ 2-6)

ザ・ロング・サイド (小学館文庫)

  • ロバート・ベイリー
  • 小学館
The Wrong Side (Bocephus Haynes Book 2) (English Edition)

The Wrong Side (Bocephus Haynes Book 2)

  • Bailey, Robert
  • Thomas & Mercer

 

 シリーズ完結編にしては盛り上がりがいまひとつだったような・・。高校のフットボールのスター選手がガールフレンド殺害の容疑で逮捕された事件で、前半はボーがこの案件を引き受けるか否かで悩んでばかりいて、葛藤しすぎでストーリーが停滞していたように思うし、事件もありきたりな印象だった。そこまで複雑な殺人ではなく、法廷ものとしてはインパクトに欠ける気がしたなぁ。

 フットボール選手もガールフレンドもどちらも黒人という設定が却って良くない気がした。ガールフレンドが白人で、黒人のフットボール選手が差別的な扱いを受けて劣勢に立たされているところを、差別と闘う正義の味方のボーが必死で弁護するという展開のほうがベタではあるけど盛り上がったと思う。後半に裁判が始まってからはそこそこ面白かったけど、やはり小粒感の否めない事件で、前作の訴訟で無罪となった検事長のヘレンも、その息子で、本作の事件の容疑者の一人であるマイケルも、何だか別人のように弱気になっていて尻すぼみだった。

 最初にボーがフットボールチームのメンバーに、自分の口ぐせの "wide ass open" の意味を解説する場面もあって、「ケ〇の穴全開で行くぞ」というセリフが何度も出てくるけど、頻繁に出てくるとこの訳語も下品すぎて何だかなあという気がしたわ。アメフト用語の  "wide open" に掛けているんだと思うけど、この ass はお尻というより単なる強調で oneself くらいの意味じゃないかしら。

 

 

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 私は以前、夫の転勤でアメリカに住んでいたことがあって、その時に子供を現地の学校に通わせていたんだけど、アメリカの高校の部活動は日本と比べて凄く本格的だった。一度アメフトの試合を見に行ったことがあるけど、夜に学校の中の競技場で行われる試合で、入場料10ドルくらいでチケットを買って入り、会場にはホットドックとかを売る業者なんかも入っていて、部活の試合なのに本格的で驚いた。スポーツ系だけでなく、学校の講堂で行われるミュージカルも、オンラインで事前に座席指定でチケットを買うシステムがあって、15ドルくらいだったかな。出演している子たちは歌も踊りもプロ並みに上手くて、セットも豪華だった。学校新聞?はちょっとした雑誌くらいのフルカラーの冊子で、記事も各号興味深いテーマが設定されていてよく書けていたし(将来ジャーナリストを目指しているような子が書いている)学校周辺のお店にスポンサーになってもらい広告を掲載した収入で発行費用を賄っているみたいで、そのへんのタウン誌より中身が濃いと思った。10年近く前の話だけど。