ロマンス小説感想日記

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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

殺しの迷路 ヴァル・マクダーミド

殺しの迷路 (集英社文庫)

殺しの迷路 (集英社文庫)

  • ヴァル・マクダーミド
  • 集英社
The Last Temptation

The Last Temptation

  • McDermid, Val
  • St Martins Pr

 

 Tony Hill & Carol Jordan 3作目 本作では何とキャロルがドイツの犯罪組織の大物を逮捕するため潜入捜査をすることに。そしてトニーはドイツとオランダで起きた連続殺人の捜査に非公式に加わり現地の警察に協力する。

 連続殺人のほうはドイツの歴史的背景が絡んだ複雑な事件でなかなか興味深かった。キャロルの潜入捜査は若干のツッコミどころはあるものの、危険な任務でいつ彼女の正体がバレるのかハラハラさせられ面白かった。ハニートラップめいた展開になって際どいところで相手をかわすキャロルにヒヤヒヤさせられっぱなしだったわ。

 サスペンスについてあまり詳しく書くとネタバレになるので、以下はトニーとキャロルの関係について。前作の最後で結局友達のままでいようということになって歯がゆく思っていたけど、やっと2人の関係が前進して良かった。今作は前作の出来事から2年後という設定で、トニーは犯罪捜査の仕事はやめて大学で教えており、あまり真剣な交際ではないけれど女性と付き合っている。(不能だったのにどうしたのかと思ったらバイ〇グラを飲んでいるという・・。)彼に恋人がいると知り、傷心を隠して祝福するキャロルが切ない。トニーはキャロルと再会したことで自分の気持ちに気づき、恋人と別れて彼女との関係に乗り出すけれど、その矢先に・・。この2人にはいつもヤキモキさせられるけど、このくっつきそうでなかなかくっつかないところが面白いのよね。今回は2人とも危機に陥って酷い目に遭うけれど、トニーは「彼女が助かるなら自分は死んでもいい」なんて言ったりしてロマサスのヒーローみたい。

 このシリーズは読み応えのあるサスペンスに主役2人のロマンスも楽しめて、カリン・スローターのウィル・トレントのシリーズなんかが好きな人におススメかと。原書は11作目まで出ているけど、翻訳は次の4作目迄で止まっているのが残念!

 

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