ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

この愛は心に秘めて ヴァレリー・ボウマン

 親友が公爵から求婚されて困ってるから、私が代わりに断ってあげるって・・女子高生かっ!と突っ込みを入れたくなるわね。実際、仲良しの女の子3人組で、おとなしい子、気の強い子、頭のいい子がいて、おとなしい子に言い寄る男子を気の強い子が追い払うって、学園ものの少女マンガみたいな展開じゃない?仲間内で三角、四角にこじれて、すったもんだして。

 この「代わりに断ってあげる」令嬢がヒロインなんだけど、ヒーローの公爵に対する態度があまりにも失礼で、最初のほうは特に性格悪く思えてあまり共感できなかった。作者としては、主役の2人の丁々発止のやりとりが読みどころってことなんだろうけど、そこまで気の利いたセリフでもなかったのでいまひとつ楽しめなかったわ。おそらく2作目以降の、昔からの想い人がいるおとなしい友人の話のほうが面白そう。

 印象としては、全体にセリフが多めで、地の文も主役ふたりがそれぞれのことを思って逡巡する描写が大半で、あまり深く考えなくても読めるから、それこそマンガのようにスイスイ読めちゃうけど、内容が薄い感じは否めないわねえ。読みやすいのは確かだけど。それでも後半は話が展開してきて、ちょっとは持ち直したかな。19通りのダンスの断り方のネタは、最後の別の20通りの方法の前振りだったのね。

 訳者さんのあとがきによると、これは戯曲の「シラノ・ド・ベルジュラック」にインスパイアされた作品だそうで、なんか納得。ヒストリカルだとそういうのよくあるけど、特に元ネタが喜劇だとドタバタした話になってイマイチなことが多いのよね。アメリカではそれがウケるのかもしれないけど。

 この作家は、これの前に「淑女が教える初夜の秘密」という作品が別の出版社から出ていて、複数の出版社が出している作家なら面白いかもと思ってこの本を読んでみたけど残念、期待はずれだった。

The Unexpected Duchess (Playful Brides Book 1) (English Edition)

The Unexpected Duchess (Playful Brides Book 1) 

  • 作者: Valerie Bowman
  • 出版社: St. Martin's Paperbacks
  • 発売日: 2014/04/29
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