スコットランドを舞台にした3部作の1作目。スコットランドとは言っても中世ではなく1800年代の話なので、まあいつものキャンディス・キャンプ。それでもスコットランドの話を書くのは作者も初めてだったそうでかなりリサーチしたらしく、その蘊蓄が、スコットランド人のヒロインがイングランド人のヒーローに自分の国のことを教えるという形で色々書かれてるので、いつもより多少説明的なところが多いような気はしたかな。
ヒーローはギャンブラーで、賭博でヒロインの弟から手に入れたスコットランドの領地を見に来たイングランド人。初めのうち、このヒーローがいまひとつ何を考えているのかわからなくて、職業もちょっと胡散臭いし、つかみどころがなくて悩んでしまった。悪人ではないけど、完全な善人という感じでもなく、もしかしたら作者もこのヒーローのキャラクターについては迷いがあったのかなって気がした。だから、最初はヒロインがヒーローのどこに惹かれたのかよくわからず、二人のロマンスが唐突に思えてなんとなく釈然としなかったのよね。結局、いかさま師だった父親に詐欺の技術を教え込まれて、役を演じているうちに本当の自分がわからなくなってしまったというヒーローの告白で、なるほどと思ったんだけど、ちょっと複雑なキャラクターだったわね。お話自体は面白く、先祖のお宝探しや、ヒーローの殺人未遂の犯人捜しもあって飽きずに読めるし、自分の領地を一生懸命守っているヒロインも好感の持てるタイプで良かったと思う。
ウエディングの夜は永遠に (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
- 作者: キャンディス・キャンプ
- 出版社: 二見書房
- 発売日: 2015/03/23
Treasured (Secrets of the Loch)
- 作者: Candace Camp
- 出版社: Pocket Books
- 発売日: 2014/06/17