ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

夜明けの口づけは永遠に キャンディス・キャンプ

 スコットランドを舞台にした3部作の最終話。3作の中でこれが一番キャンディス・キャンプらしいお話だったと思う。貴族のレディだけど男勝りの考古学者でお転婆なヒロインと、頑固なヒロインに腹を立てながらも、そんな彼女が好きでたまらない領地の管理人のヒーロー。

 ヒーローが平民だけど、前作で姉が伯爵夫人になっているから多少地位も向上してるし、最終話だからきっとお宝も発見してお金持ちになって、身分の差も乗り越えて結局は収まるところに収まるんだろうと思っていたから、あの結末には若干モヤモヤ感があったけど、まあ、ヒーローの父親の在り方がこの結末の前置きになってたんだろうなと。

 今作はどちらかというとヒロインよりもヒーローに肩入れしたくなるお話だったかな。優しくて正義感の強いヒーローで、身分の高いレディに恋してしまって葛藤するところが切ない。頑固に自立を重んじて結婚したがらないヒロインに対し、求婚を断られ、彼女は自分の体だけが目当てなんだと悩むヒーローは乙女のようで、役割が男女逆転したような展開だとどうしてもヒーローを応援したくなるわよね。

 お宝探しに励みつつ、悪者からヒロインを守り、夜には彼女をベッドでとろけさせながら、報われない恋に悩む忙しいヒーローでした。 

夜明けの口づけは永遠に (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

夜明けの口づけは永遠に (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

  • 作者: キャンディス・キャンプ,山田香里
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 文庫
Enraptured (Secrets of the Loch Book 3) (English Edition)

Enraptured (Secrets of the Loch Book 3) (English Edition)

  • 作者: Candace Camp
  • 出版社/メーカー: Pocket Books
  • 発売日: 2016/01/19
  • メディア: Kindle

  この3部作はあまり間をあけずに読んだので、前作の記憶が新しいうちに読み終わって良かった。同じ作家を続けて読むと飽きるので、そういう読み方はあまりしないんだけど、キャンディス・キャンプは好きな作家だし、3作でそれぞれキャラクターがかぶらないように趣向を変えていて意外と飽きずに読めた。さすがはベテラン、構成がうまい。

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM