これはマヤ・バンクスが2007年にSharon Longというペンネームで書いた作品。別名義だからか、いつもと作風が少し違ってサスペンス重視の内容だった。CIAやらテロ組織やら壮大な陰謀のストーリー。ロマサスなのでそこまでの緻密さはなくB級映画的なところもあるけど、短めにまとまっていて話に無駄がなく、最後まで緊張感が続いて一気に読めた。マヤ・バンクスってこういう話も書けるんだ。ちょっと見直した。今までこの作者はサスペンスはイマイチと思っていてごめんなさい。これは面白かった。
ヒロインは陰謀に巻き込まれて恐ろしいことになるのだけど、何を書いてもネタバレになる気がするのでストーリーにはあまり触れないでおこう。ヒロインは最初から傷だらけでズタボロの状態で、その境遇があまりに悲惨だから雰囲気は暗めだけど、絶望的な状況で死に物狂いで逃走するのが切迫感があって良かった。悪者と対峙しつつ、ヒーローを守るために彼から離れようとするヒロインは、悪者とヒーローの両方を出し抜かなければならず、それが緊張感を増していたと思う。結局ヒロインのほうが一枚上手でヒーローは裏をかかれて失態ばかりだけど、それはそれで面白いと思った。ヒロインを守ってくれる強いヒーローもいいけどそればかりではつまらないし。
- 作者: マヤ・バンクス,Maya Banks,草鹿佐恵子
- 出版社/メーカー: オークラ出版
- 発売日: 2018/07/09
- メディア: 文庫
Long Road Home (English Edition)
- 作者: Maya Banks
- 出版社/メーカー: Maya Banks
- 発売日: 2017/01/20
- メディア: Kindle版