ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

御曹司の冷たい執心 ティファニー・ライス

 ティファニー・ライスは「フィフティ・シェイズ」が流行った後、似たようなのがたくさん翻訳されてた時に「セイレーンの涙」が出版されて、その手のものの中では内容がかなり衝撃的で、凄いのを書く作家がいるなと思った覚えがあるけど、普通のハーレクインも書いていたとは。でもこの作者のことだからきっと普通の大富豪と秘書とかじゃなく一味違うんじゃないかと思い、ちょっと興味があって読んでみた。

 やはりこの作者はキャラクター造形が独特で面白い。何しろヒロインが建設現場で働く溶接工!そして芸術作品を作るアーティストでもあり、ショートヘアで腕と背中一面にタトゥーを入れていて、周りの人からレズビアンじゃないかと思われてるような、ロマンスのヒロインではあまり見ないタイプだった。ヒーローはヒロインが働く建設会社の重役でどちらかというと繊細なお坊ちゃんタイプ。ヒロインは同僚に嫌がらせを受けたら、仕返しにロッカーを溶接しちゃうようなすごい女傑のようでいて、ヒーローが会社に来た日から片想いしていたというカワイイところもあったりする。お互いに好きで、ある晩一夜を共にしたけど、上司と部下の立場だから付き合えず別れてしまったというありがちな話ながら、二人の会話が洒落ていて面白いし、キャラクターが個性的で、似たり寄ったりのハーレクイン小説の中では異彩を放っていると思う。

 それにしても、ヒロインが変わり種なのに対し、ヒーローは割と普通だなと思っていたら、何やらベッドでは急にワイルドになり「君が相手だと荒っぽくなってしまう」とか何とか・・そしてヒロインのほうも「命令してほしいの・・」って、作者お得意の支配と服従を匂わせる描写がここでも!2人の相性が抜群って言ってたのはこれだったのか。男勝りのヒロインがどういうわけか、お坊ちゃんタイプのヒーローの意外な一面を目覚めさせたという。でも如何せんハーレクインじゃ尺が足りないと言うか、2人の関係性をもう少し掘り下げて書いてくれたら良かったけど、そうじゃないからちょっと唐突な感じがしたわね。やはりこの作者は長編のほうが向いてる気がする。でも文庫作品ほどの読み応えはないにしろ、短い中にも作者の個性は感じられて、そこそこ楽しめたので良かった。

御曹司の冷たい執心 (ハーレクイン・ディザイア)

御曹司の冷たい執心 (ハーレクイン・ディザイア)

  • 作者: ティファニーライス
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2018/11/22
 
One Hot December (Men at Work Book 920) (English Edition)

One Hot December (Men at Work Book 920) (English Edition)

  • 作者: Tiffany Reisz
  • 出版社/メーカー: Harlequin Blaze
  • 発売日: 2016/12/01

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