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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

魅惑のシャレード リサ・マリー・ライス

 新シリーズ 「私のビリオネア」の1作目。この作者も最近はマンネリ脱却(?)のためか、主人公が超能力者の近未来ものとか、ちょっと変わったのも書いていたけど、今作は元軍人ヒーローがテロに立ち向かう単純明快なサスペンスで原点回帰という感じ。正直、あの超能力ものはイマイチだったので、やはりこの作者はこういうシンプルなサスペンスのほうがいいな。変に奇をてらった設定にするよりも、ワンパターンだろうがいつもの路線のほうが結局は面白い。リサ・マリー・ライスは偉大なマンネリ作家だ。

 最初はシリーズ名が“Her Billionaire” で洋書の表紙がタキシード姿の男性だったから、大金持ちのCEOかなんかのシリーズを書いたのかなと思ったけど、読んでみれば元軍人で警備会社のCEOで、いつもどおりのリサ・マリー・ライスだった。これまでの作品のヒーローも、軍人という要素が前面に出ていて、お金持ちという部分があまり強調されていなくても、たいていは高収入だったし。

 今作は、パリ行きの飛行機の中で知り合ったヒーローとヒロインが恋に落ちて、一緒に行ったルーブル美術館でテロに巻き込まれるという、わかりやすくてシンプルなストーリー。テロリストたちにも基本的に2人で立ち向かうので登場人物も少な目。ヒーローは飛行機を降りたその日にヒロインをディナーに誘い、デザートは自分の部屋で食べようと、ホテルのスイートルームに彼女を連れ込んじゃうという早業。お互いすぐに惹かれあって熱々の二人。この作者の典型的なパターンだけど、それが良いのよね。まあサスペンスの部分は、大半を敵から隠れて壁の奥に籠って過ごしているから、やや緊迫感に欠けるところはあるかもしれないけど。それでも頁数も少な目で短くまとまっているから展開も早く、最後まで失速せずに読了できた。

 原書はまだ2作目までしか出ていないようだけど、全3作のシリーズで、2作目はイタリア、3作目はイギリスが舞台になるらしい。次作も楽しみだな。 

魅惑のシャレード (海外文庫)

魅惑のシャレード (海外文庫)

  • 作者: リサ・マリー・ライス
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/12/02
  • メディア: 文庫
 
Charade: Her Billionaire - Paris (English Edition)

Charade: Her Billionaire - Paris (English Edition)

  • 作者: Lisa Marie Rice
  • 出版社/メーカー: Lisa Marie Rice
  • 発売日: 2018/05/15
  • メディア: Kindle

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