ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

公爵とのワルツは秘密の匂い レノーラ・ベル

 このシリーズの1作目「公爵のキスはココアの香り」はだいぶ前に読んだのでもう記憶が薄れているけど、新人作家の中では有望なほうで、次も読んでもいいかなと思えるくらいには面白かったので2作目を読んでみることに。

 リージェンシーのロマンスは本国ではそれこそ掃いて捨てるほど作品が溢れている人気ジャンルなので、新人作家は独自色を出そうと苦心してるんだと思う。今作のヒロインは1作目に比べると、シャイな壁の花の令嬢という割とありきたりな設定なので、作者も個性を出そうとしたんだろうけど、頑張りすぎてややスベってしまった感があるわね。ヒーローと一緒にアイルランドまで旅する道中も、勝手に“私は彼の愛人でイタリア人のオペラ歌手”と自分の役柄をつくりあげ、ヒーローが悪者に襲われそうになった時には、急にオペラを歌い出し悪者を唖然とさせて彼を助けるとか、ギャグマンガかよと突っ込んでしまったわ。作者としては内気な令嬢の破天荒な言動が痛快だと思って書いているのかもしれないけど、ヒロインの無鉄砲さをわざとらしく感じてしまってイマイチ話に乗れなかった。

 ヒーローは放蕩者の公爵と見せかけて、弟を殺した犯人を捜して復讐するために暗躍している。その秘密のために結婚しないと決めていたけど、ヒロインに惹かれるようになって葛藤するという、なかなか良さげなキャラクターだったけど、終盤、復讐が予想外の展開となり、ショックを受けてヒロインを拒絶するのは何でやねん。驚いたのはわかるけど、脅威がなくなったんだから喜んで結婚すれば良いものを。何だか2人が簡単にくっついたら面白くないから一度は拒絶しないと・・という作者の思惑が透けて見えて、白けてしまったわ。その後すぐに考え直すくらいなら別れるなと言いたい。あの復讐の顛末も、予想外の事実が何の伏線もなく唐突に出てきたから驚いたけど、(本当に上手い作家なら、ちゃんと伏線を張っておいただろうけどね。まあミステリーじゃないからいいけどさ。)結局、そっちもすぐに考え直して母親を喜ばそうと実家に行くんだから拍子抜け。最後に色々詰め込んだと思ったらあっさりハッピーエンドで、ちょっとご都合主義な感じが否めなかったわね。何だかすっかり辛口のレビューになってしまったけど、特徴を出そうとした作者の努力は買う。文章も工夫を凝らしているのか比喩が独創的だけど、時々が表現が回りくどくて読んでて引っかかるところがあったので、自分はもう少しシンプルなほうが好きかも。3作目は気が向いたら読むかな。あらすじは面白そうだけど。 

公爵とのワルツは秘密の匂い (ベルベット文庫)

公爵とのワルツは秘密の匂い (ベルベット文庫)

  • 作者: レノーラ・ベル,旦紀子
  • 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 文庫
If I Only Had a Duke: The Disgraceful Dukes (English Edition)

If I Only Had a Duke: The Disgraceful Dukes (English Edition)

  • 作者: Lenora Bell
  • 出版社/メーカー: Avon
  • 発売日: 2016/08/30
  • メディア: Kindle

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