これも1作目だけが翻訳されて後は放置のシリーズだけど、読んでみて続きが出ないのも納得だと思った。ロマンスもサスペンスもイマイチ。面白くなりそうな要素はあるのにもったいない。
ヒーローはヒロインを殺害するよう命令された暗殺者という設定なんだけど、最初から任務に疑問を感じていて殺す気がないのよね。これじゃあ生ぬるい。ヒロインのほうも、自分を殺しに来たかもしれない男なんだから、もっと怖がらないと。“死ぬほど危険ないい男”なんて言ってたらダメでしょ。初っ端から緊迫した場面のはずなのにヒロインの恐怖がちっとも伝わって来ない。せっかくヒーローがヒロインを殺しに来たという珍しい設定なんだから、お互いもっと疑心暗鬼になって、殺される恐怖を感じながらも惹かれてしまう!みたいな葛藤が見たかった。
キャラクターにも個性があまり感じられないわね。ヒーローは武器にクロスボウを使っているということ以外は大した特徴がないし、ヒロインも、いとこに陥れられて犯罪者になってしまい、兄と両親も殺されているというのに、あまり必死な感じがしなくて共感しづらい。なんだか淡々と話が進行していく感じ。ロマンティック・サスペンスというのはハードボイルドの対極で、主人公が心情を吐露しまくって読者も感情移入し、ヒーローが大袈裟すぎるくらい必死になって、僕の命をかけて彼女を守る!!っていうのが胸熱なんじゃない?このカップルの間には熱いものがあまり感じられなくて、ヒロインが「愛してるわ」と言い出した時も、えぇ、何それ、いつの間に??と思ってしまった。
ヒーローが所属している組織がEXITと言って、それがシリーズ名にもなっているけど、この最高責任者が自分の個人的な恨みのために、勝手に組織の暗殺者を使っていて、ヒロインがターゲットにされたのも、すごい陰謀に巻き込まれたのかと思ってたら、しょうもない私怨のためだったりしたんだけど、そんな人の命令に従って暗殺者が仕事をしているとか、本当にろくでもない組織よね。この最高責任者がどうなるのかが一番興味深かったけど、結局そこは中途半端に終わってしまってなんだかなあ。これは二見が出してるロマサスの中ではハズレの部類だと思うわ。
愛の弾丸にうちぬかれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
- 作者: リナ・ディアス,白木るい
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2016/04/21
- メディア: 文庫