2年くらい前に発売された作品だけど積読本になっていたので、今更ながら読んでみた。これは泣ける。ロマンス小説に分類されるものの中に、たまにこういう感傷的なストーリーの作品があるわよね。最近で思いつくのは、「雨が降ったら僕を思い出して」とか、あと「世界で一番美しい声」もそうかな。でも泣ける話が読みたいなら、ニコラス・スパークスで事は足りるのよね。この作品も、上に挙げた他の2作も、シリーズなのに2作目以降が翻訳されていないところを見ると、この手のストーリーはやはりあまり受けないのかなと思う。
特にこの作品は、配偶者を亡くした男女が出会って恋に落ちるわけだけど、最初は2人ともまだ伴侶を亡くした苦しみにどっぷり漬かっている状態だから、読むのが辛いくらい切ないけど、人が死んだら悲しいに決まってるから、それで泣かせるのはちょっと反則っていう気もする。最初は、美談だ!さあ泣け!と言うかの如く悲痛なエピソード満載で、純愛小説風なんだけど、それから主人公2人が、お互いに相手のことを亡くした伴侶だというふりをして関係を持つようになり、その辺りの露骨な描写が出てくると少し違和感があったわね。こういう感動ものの泣けるストーリーとHotな描写は相性が悪いと思うのよ。いっそのことそういうのは無しにして正統派のラブストーリーにしても良かったんじゃないかと思う。
後半に2人がお互いに大切な人だとわかり、愛していると認めるとロマンス小説らしくなり、ちょっとしたサスペンスもあってスピーディーな展開で最後まで持っていく感じだったかな。前半の感傷的なストーリーから後半の唐突なサスペンスに少し違和感があったものの、全体的には悪くない作品だったと思う。たまにはこういうのもいいかな。
- 作者: ブリタニー・C.チェリー,Brittainy C. Cherry,緒川久美子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 文庫
The Air He Breathes (English Edition)
- 作者: Brittainy Cherry
- 出版社/メーカー: BCherry Books
- 発売日: 2015/09/25
- メディア: Kindle版