ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ひびわれた心を抱いて シェリー・コレール

 FBIの精鋭チームのメンバーが主役の「使徒」シリーズ1作目。この作者はYA小説でデビューして、この作品が初めてのサスペンスらしいけど、初めて書いたにしては良く練られたストーリーで、先が読めない展開に引き込まれた。自分は海外ドラマの犯罪捜査ものが好きで色々見たけど、この作品はまさに「クリミナル・マインド」。このままドラマの脚本にしても良いような話だった。

 ヒーローは連続殺人犯を追うFBIのプロファイラーで、一分の隙もなく高級スーツを着こなし、真面目で仕事熱心なタイプ。こういう人好きだわあ。いつも鋭く状況を分析する頭脳派で、犯人を捕まえるために一生懸命仕事してるところがすごくカッコいい。この作者は、魅力的なキャラクターの描き方を心得ているわね。ヒロインはテレビのレポーターだったけど、シリアルキラーに殺されそうになってからは逃亡生活を続けている。母親に虐げられて育ち、不幸な子供時代を送ったにもかかわらず、報道の世界で成功したガッツのある女性で、最初のほうはヒーローを挑発したりして威勢が良かったのに、彼に恋してると認めてからは、ちょっとおとなしくなっちゃった気がする。他にもFBIのチームのメンバーや地元警察や、脇役がたくさん出てくるけど、うまくキャラクターを描き分けているから、登場人物が多くても混乱せずに読めるし、脇役のせいで主役がかすんでしまうこともなかった。ロマンスは、サスペンスの合間に少~しずつ二人が近づいていくのでかなり焦らされる。良い雰囲気になると決まって邪魔が入ったりして。二人がくっつくのはかなり後のほうだけど、前半のほうが緊張感があって良かったかな。この作品はサスペンスの比重が大きくてロマンスは少な目だけど、このヒーローは恋愛に気をとられている時より、仕事に集中してるときのほうがカッコいいので、ちょうど良かったかも。あまり期待せずに読み始めたら、意外にも良作だったので嬉しい驚きだった。

ひびわれた心を抱いて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

ひびわれた心を抱いて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

  • 作者: シェリー・コレール,藤井喜美枝
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2015/05/21
  • メディア: 文庫
The Broken (The Apostles Book 1) (English Edition)

The Broken (The Apostles Book 1) (English Edition)

  • 作者: Shelley Coriell
  • 出版社/メーカー: Forever
  • 発売日: 2014/04/29
  • メディア: Kindle

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