ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

追憶のマスカレード リサ・マリー・ライス

 “私のビリオネア”シリーズ2作目。今作の舞台はイタリア。作者のイタリア好きが高じて観光ガイドブックみたいになってしまった「シエナに恋して」はかなり残念な作品だったけど、今作は面白かった。いつも通りの典型的なリサ・マリー・ライス。再会もので、10年前貧乏学生のヒーローとお金持ちのお嬢様のヒロインは恋人同士だったけど、ヒロインは事情があってヒーローのためを思い別れることに。ヒーローは捨てられたと思って彼女を恨み、仕事に打ち込んで今では億万長者になっている。この作者のヒーローは捨てられたからと言って復讐心の塊になったりはしないのよね。最初こそ少し冷たい態度だったけど、すぐに仲直り。お互いに相手が最愛の人で別れた後も想い続けていただけに、再会後の熱々ぶりときたら(笑)。10年前は温厚な学者タイプの青年だったヒーローが、今では研ぎ澄まされて危険な雰囲気をまとったイイ男になっていて、ヒロインをプリンセスのように崇めている。この作者のヒーローもヒロインも、結局いつも同じタイプなのよね。まあそれが良いので文句はないけど。個人的に再会ものは切なくて好きだけど、この作品は、どちらかというと再会後のラブラブぶりを重点的に書いているから、そんなに切ない感じはなかったと思う。そこが多少物足りない気はしたかも。

 サスペンスは条約締結を阻止するための中国国家主席の暗殺計画にヒロインが巻き込まれ、それをヒーローが助けるというもの。とはいえ、作品の短さを考えるとサスペンスはロマンスを盛り上げるための味付けという位置付けだと思うので、壮大な陰謀だけど書き方は割と適当。このサスペンスを突き詰めたらこの長さには収まらないので、これはこれで良いと思う。スピード感はあるし、ロマンスは確かに盛り上がる。深く考えずに読めるので、あっという間に読み終えてしまったけど、ロマンスは堪能できた。この作者の作風が好きなら問題なく楽しめると思う。次作もあまり間をあけずに出るといいな。 

追憶のマスカレード (海外文庫)

追憶のマスカレード (海外文庫)

  • 作者: リサ・マリー・ライス,上西京
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: 文庫
Masquerade: Her Billionaire - Venice (English Edition)

Masquerade: Her Billionaire - Venice (English Edition)

  • 作者: Lisa Marie Rice
  • 出版社/メーカー: Lisa Marie Rice
  • 発売日: 2018/09/01
  • メディア: Kindle

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