Reid Family シリーズ1作目。原書は2000年の出版で、いかにもジョアンナ・リンジーという感じの楽しい作品だった。この作者は威勢の良いヒロインを書くことが多いので、じゃじゃ馬ぶりが鼻につくこともあるけど、今作のヒロインは性格も良く、親しみやすい可愛らしいキャラクターだった。
いつも人を笑わせて気持ちを和ませる癒し系のヒロインは、美人ではないけどそれなりに可愛くて小柄だけどメリハリボディの持ち主。優しくてみんなが友達になりたがるタイプ。男性にも好かれているけど良い友人止まりで花嫁候補とは考えてもらえない。でも美人じゃないからそれも仕方ないとあきらめている。
ヒーローはスコットランドに住んでいたけど、母方の祖父がイングランド人で、むりやり跡継ぎにさせられて嫌々イングランドにやって来る。そして早く結婚して子供を作るように急かされて、祖父が決めた花嫁候補の女性(←ヒロインではない)に会ったところ、絶世の美女なのは良いけど、とんでもなく性格の悪い女性だとわかって即却下!どんな人かと言うと、みんなが「こんなに性格の悪い女性がいるのか??」と驚くほど、恐ろしく自己中なナルシストで自分の美貌に絶大なる自信を持っているという・・もう強烈すぎて呆れるのを通り越して笑えた。まあ良い面と言えば、良い人に見せかけて裏で意地悪をするタイプではなく、いつでも誰に対しても感じ悪く、少なくとも裏表のない天然の(?)性悪女ということかな。この意地悪役の彼女が、みんなを引っ掻き回し揉め事を引き起こす影の主役のようなキャラクターですごいインパクトだった。
意志に反して結婚をせっつかれ、イライラしているヒーローをヒロインが笑わせて癒し、2人はまず友達関係からスタート。ヒーローは最初から彼女に惹かれていて周りの人はそれを見抜いているのに本人は気付いておらず、あくまで友達だと言い張ってるのがもどかしい。ヒロインのほうは、こんなハンサムな人が私を好きになるわけないと思っている。なんだか少女漫画みたいな展開の可愛らしいロマンス。
ヒーローも最終的には自分の気持ちに気付くけど、罠に嵌ってあの性悪女と結婚させられそうになりそれを回避するためにすったもんだ。終盤はかなりドタバタだったけど、この作者らしい良い意味でのドタバタで、最後まで目の離せない展開だったから、つい一気読みしてしまった。ヒロインが可愛いタイプだから、つい応援したくなるのよね。性格美人のヒロインが幸せをつかめて良かった。
このシリーズは4部作らしく、調べてみたら今作の性悪女が次作のヒロインだったのでビックリ。まあ最後のほうでちょっと反省してるそぶりはあったけど、彼女が本当に改心できるのかちょっと興味あるかも。