ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

真実の愛を公爵と マヤ・バンクス

 マヤ・バンクスの初期作復刻シリーズ。先月の「女王陛下に~」が割と面白かったので今月のも読んでみたけど、こちらはいかにも新人作家の書いたヒストリカルという感じで、終盤の盛り上げ方はなかなかだったけど、全体的には普通かな。原書が当時ペーパーバックで刊行された「女王陛下~」は独創的なストーリーが良かったけど、今作はそこまでの独創性はなく、執筆当時は出版に至らなかったというのも納得かな。

 ヒロインは夫に虐待されて辛い結婚生活を送っていたけれど、夫が旅先で亡くなり自由になる。気の毒な女性が主人公のシリアスなストーリーかと思ったらそうでもなく、ヒロインはあんな酷い夫の喪に服すものかと、派手な衣装で舞踏会に現れスキャンダルを巻き起こしている。虐待を受けていたのは気の毒だけど、しきたりを無視して喪に服さず派手な行動を繰り返すのは浅はかに思えるし、思考が完全に現代人で時代性が感じられないのがちょっと残念。

 ヒーローは公爵で、弟がヒロインと友達同士で行動をともにしているから、スキャンダルに巻き込まれないように2人を引き離そうとするうちに、彼女のことが好きになってしまう。ヒロインを非常識で慎みのない女性だと思いながらも惹かれてしまってジタバタしているヒーローが面白い。中盤はお互いにタイプじゃないのに気になって仕方ない二人のやりとりが笑えるラブコメ風の展開だった。

 終盤の展開はなんとなく予想はついていたけれど、やっと相思相愛になった二人に災難が降りかかり、ピンチを切り抜けるために、ヒーローと弟と従兄の三人でヒロインを守る。イイ男3人に助けられ大切にされる人気者のヒロインがこの作者らしい。波乱の展開のサスペンスで最後に一気に盛り上がったのは良かった。面白かったけど、少し稚拙さが感じられるのも事実で、今のマヤ・バンクスのネームバリューがあるからこそ刊行できたという印象は拭いきれないと思う。

真実の愛を公爵と (マグノリアロマンス)

真実の愛を公爵と (マグノリアロマンス)

Duchess of My Heart (The Vault Collection) (English Edition)

Duchess of My Heart (The Vault Collection) (English Edition)

  • 作者:Maya Banks
  • 出版社/メーカー: Maya Banks
  • 発売日: 2019/05/20
  • メディア: Kindle