ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

束の間のバカンスを伯爵と メアリ・バログ

 サバイバーズ・クラブの紅一点、夫を戦争で亡くし心を閉ざして生きているイモジェンがヒロイン。心温まるロマンスで良い話だった。かなり重い過去を背負っているヒロインなので、お相手はどんな男性だろうと思っていたけど、裕福な貴族で、愛情豊かな両親の元で何不自由なく育ち、ハンサムで頭も良いという、金持ちのお坊ちゃんヒーローだった。これが絶妙なカップリングで、例によって第一印象は最悪だけど、お互い知り合うにつれどんどん惹かれあっていく二人。不幸な経験をしたヒロインには、冗談で笑わせてくれるような、屈託のない男性が必要だったのね。恵まれた境遇で苦労知らずの貴族の跡取り息子なんて、キャラクター的に面白味に欠けるように思えるけど、ヒロインと出会って本気の恋に落ち、より良い人間になろうとするところが良かったし、変に屈折していなくて少年ぽいところが魅力的だった。

 お気楽な遊び人のヒーローだけど、30歳になるというのに有意義なことを何もせず無為に過ごしている自分に疑問を感じていて、相続後2年間ほったらかしにしていた田舎の地所を訪れようと決心しコーンウォールにやって来る。そこで未亡人のヒロインと出会い、ここに滞在している間だけの一時の関係だと割り切って付き合い始めたけれど、いつの間にか本気に。2人の関係が少しずつ深まっていく様子がとても丁寧に描かれていて、いつもながらメアリ・バログは上手いなあ。滅多に笑うことのなかったヒロインがヒーローといると笑顔になるのが良かったし、彼女が笑ってくれただけで有頂天になるヒーローが可愛い。愛人関係から始まった大人の付き合いなのに、微笑ましいロマンスだった。遊び人のようで根は意外と真面目なヒーローが優しくて素敵だった。

 後半、領地での密輸が明らかになりヒロインにも危険が及ぶけれど、この問題がかなり奥が深く、昔ヒロインの夫が戦争に行ったことまで関連していて面白かった。密輸問題に真摯に取り組むヒーローにはグッときた。ヒロインも惚れるわけだわ。恐ろしい体験をくぐり抜けたヒロインだけに、幸せを掴むことができて良かった。 

束の間のバカンスを伯爵と (ライムブックス)

束の間のバカンスを伯爵と (ライムブックス)

Only a Kiss (A Survivors' Club Novel Series Book 6) (English Edition)

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  • 作者:Mary Balogh
  • 出版社/メーカー: Berkley
  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: Kindle