ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

愛することをやめないで デヴニー・ペリー

 この作品は、原書の評価も高くて人気のある作家のようだから期待していたのだけど、何だか予想と違うストーリーでサスペンスは少なめ、原書の表紙から想像していたようなダークな雰囲気でもなく当てが外れたわ。自分の好みとはちょっと違うかな。バイク乗りのチョイ悪ヒーローと気の強い新聞記者のヒロインがぶつかり合いながら惹かれあうロマンスを楽しむ作品だと思う。以下ネタバレ注意。

 ヒーローが元ギャングで前科者だから、危険な雰囲気の近寄りがたい男性なのかと思っていたけど、経歴の割には普通っぽくて拍子抜け。ギャングだった頃はかなり悪かったらしいけど、今では堅気になって車の修理工場を経営している。警察に追われ、いつ刑務所に入れられてもおかしくない生活が嫌になったそうで、5年くらいかけて少しずつ違法な仕事から手を引いていき、メンバーが減っても補充せずにクラブを自然消滅させたという至極もっともな話で、真っ当すぎてつまらないなあ。もっとドラマティックな話を期待してたんだけど。

 ヒロインは都会でテレビのニュース番組に出ていたけど、お飾りのキャスターでいるのが嫌になって故郷に帰り、父親の経営する新聞社で記者をしている。報道の第一線で働いていた人にしては、あまりプロ意識が感じられず、仕事の仕方もユルい気がした。町のモーテルで女性が刺殺され、ヒーローの父親が容疑者にされる事件が起き、ヒロインがヒーローの修理工場に取材に行ったことがきっかけで、一緒に事件の真相を探ることになるけど、それほど入り組んだ事件でもなく、ロマンスの添え物のミステリーという感じ。

 事件を捜査していくうちに、父親が昔浮気していたことが発覚し、ヒーローがショックを受け親子関係にヒビが入る。ギャング時代には敵を何人も殺していたヒーローなのに、父親が出来心で浮気したことを知ったくらいで動揺するようなヤワなハートの持ち主なのね・・・。人間ドラマとしては月並みかな。

 ロマンスは、悪くはないのだけど、肝のすわったヒロインは元ギャングのヒーローに対してもズケズケと物を言い、危険な男性との禁断の恋という感じではなく、キャリアを追求しすぎて家庭を築く夢を叶えられなかったことを後悔しているヒロインが、あまり家庭的じゃない男性に恋して予想外に妊娠するという、現代もののロマンスにありがちな展開で、普通過ぎて肩透かしだった。まあ、そういうのも面白いけどね。

 全体的にユルいストーリーで、ハラハラドキドキという感じではなく、中盤はやや冗長に感じた。最後のほうでヒロインが誘拐されて話が盛り上がってきたけど、これだけ引っ張っておいて犯人の正体もわからずじまいって、そんなのあり?? 2作目が殺された女性の娘と工場の修理工のロマンスらしいので、謎を残して次作につなげてるんだろうけど、なんだかなあ。ほのぼのムードのエピローグにも鼻白んでしまったわ。

 本国では評判の良い作家なので、こういうまったりした作風が受けているのかな。ヒーローが反社組織のリーダーだったと言うからには、緊迫感溢れるロマンティック・サスペンスなんだろうと勝手に思っていたので期待外れだったけれど、バッドボーイとキャリアウーマンがすったもんだでくっつくロマンスだと思って読めば面白いと思う。 

Gypsy King (Tin Gypsy)

Gypsy King (Tin Gypsy)

  • 作者:Perry, Devney
  • 発売日: 2019/09/11
  • メディア: ペーパーバック

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