ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

妻の沈黙 A・S・A・ハリスン

 結婚生活が破綻した夫婦の話で、“ゴーン・ガール”とよく比較されているサスペンス。話題作だけど、賛否両論で評価の分かれる作品みたい。自分は面白いと思ったけど、これをつまらないと言う人がいるのもわかる。すごい事件が起こるわけでもなく、サスペンスらしいハラハラ・ドキドキ感はあまりない。夫が若い女性と浮気してその女性が妊娠したため、長年連れ添った妻を捨てて浮気相手と結婚することになり、その顛末を妻と夫それぞれの視点で書いている。割と淡々とした語り口で、普通なら少々退屈に感じても不思議はないストーリーなんだけど、この夫婦が一体どうなるのか気になって結構夢中になって読んでいた。単調とも言える内容なのに、どういうわけか読者を釘付けにする吸引力がある。浮気男の心理が鋭く分析されていたり、夫の浮気を知りながら見て見ぬふりをする妻の論理とか、とても興味深くて心理学の本を読んでるような感じの不思議なサスペンス。浮気をやめられない愚かな夫と、少し偏執的なところがあって現実を見ようとしない妻、どちらもすごい悪人というわけじゃないけど人間性に少々問題があって、そんな夫婦の結婚生活に危機が訪れると、とんでもない泥沼状態になって恐ろしいことが起きてしまうという・・。結婚生活の問題を鋭く掘り下げて、夫の浮気というありがちな問題をサスペンスに仕立てた興味深い作品で、独特の面白さがあると思う。

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM