ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

連鎖 J・T・エリソン

 J・T・エリソンは以前「いつわりは華やかに」を読んで割と面白かった覚えがある。あれはロマサスだと思って読むと納得いかない結末だから、あまり評判が良くないみたいだけど、ゴーン・ガール的なイヤミスとしてはそこそこ良く出来ていて、自分は結構楽しめた。

 「連鎖」はこの作者のデビュー作で、Taylor Jacksonシリーズの1作目。原書は8作目まで出ていて7作目と8作目がRITA賞にノミネートされている。デビュー作にしては完成度が高くて面白かったけど、サスペンスは割と普通の連続殺人ものという感じで、良く出来てはいたけど特に目新しいところはなかった。(1/3くらい読んだところで犯人の目星がついてだいたい展開が読めてしまったし。)警察ものなので登場人物が多めだけど、それぞれちゃんとキャラが立っているから混乱することもなく読みやすい。ただ、ヒロインが最初からヒーローと恋人同士という設定だったのが少し残念で、せっかく1作目なんだから、出会いからカップルになるまでを書いてほしかった。そこがロマンスで一番面白いところなのにもったいない。作者的には恐らくロマサスというより本格ミステリーを目指していて、ロマンスは甘さ控えめ(?)にしたかったのかもしれないけど、本格ミステリーと言うにはサスペンス部分が少々ありきたりだから、ロマンスの部分を充実させてくれたほうが良かった。

 ヒーローはFBIの敏腕プロファイラーで、精神科医の資格を持っていて古典文学にも詳しく、誠実な人柄でヒロインに夢中という理想を絵に描いたような男性で、ちょっと出来過ぎな気もするけどなかなか素敵だった。蜘蛛を怖がってるヒロインに「僕が一生そばにいて蜘蛛を殺してあげる・・」なんて言ってるところが優しくて良いわ。ヒロインは最年少で警部補になったやり手の女刑事だけど、妊娠したかもしれないと思って動揺するところとか人間味があって良かった。2人とも好感の持てるキャラクターで、最後のプロポーズも甘さ控えめだけどヒーローの真摯な気持ちが伝わってきて悪くなかったと思う。

連鎖 (mirabooks)

連鎖 (mirabooks)

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM