ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

グッド・ドーター カリン・スローター

 カリン・スローターは日本でもかなり売れてる人気作家だけど、自分が読むのはこれが2作目で、だいぶ前に「プリティ・ガールズ」を読んで以来になる。プリティ~に関しては、猟奇殺人系では面白いほうだと思ったけど、ヒロインのキャラクターがどうにも好きになれなくて最初はなかなか話に入り込めなかった。あらすじから、ヒロインは夫に裏の顔があることを知らずに幸せな結婚生活を送っていた普通の主婦、みたいな女性を想定していたけど、読んでみると夫の同僚と平気で浮気しているなかなかのbitchで、これがヒロインかと驚いた。(同じ頃に、ポーラ・ホーキンスの「ガール・オン・ザ・トレイン」を読んだけど、あのアル中ヒロインのほうがまだ共感できたな。)それでもサスペンスの出来が良かったから結果的には面白かったけど、この作家をもっと読みたいと思うほどではなくて、シリーズものには手を出さなかった。

 「グッド・ドーター」はノンシリーズで原書も高評価だから、久しぶりにまたK・スローターを読んでみる気になったのだけど、プリティ・ガールズよりもこちらのほうが面白く、内容もより深みを増していたように思う。これも残酷な事件ではあるけれど、そこまで猟奇的ではなかったしスプラッタな描写もプリティ~ほどではなくて、地味なぶんストーリーの上手さが際立っていた。ミステリーだけど家族の絆を描いた人間ドラマ的な部分が大きなウェイトを占めていて、色々と考えさせられる内容だった。出てくる登場人物がみんなそれぞれ苦しんでいてかなり重いけれど心に訴えるものがあった。主人公の姉妹は少女の頃に恐ろしい事件に巻き込まれて生き残ったタフな女性達で、称賛せずにいられない。あれだけ酷い目に遭いながら、赦し前に進むというところに、キリスト教的な考えが根底にあるのを感じた。

 学校で起きた生徒による銃撃事件と、主人公の姉妹が襲われた過去の事件が複雑に絡んだミステリーの中に、それに関わる様々な人のドラマが描かれていて非常に読み応えがあり、この作者の実力を再認識させられた。今乗りに乗ってるサスペンス作家だもんね。とても面白かったけどかなりヘビーな内容なので読み終わった後ぐったりしてしまった。充実感が得られることは間違いないけど、こういう重いのはたまに読むくらいが丁度いいかな。

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