ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

放蕩者を改心させるには ダネル・ハーモン

 D・ハーモンはこれが初邦訳だけどキャリアは結構長いみたい。この作品は原書が1997年刊行の De Montforte Brothers シリーズの1作目。だいぶ前に書かれた作品だから、最近の新人作家が書いたものとは若干趣が異なり、時代の雰囲気もそれなりに感じられる正統派のヒストリカル・ロマンスという気がする。波乱に富んだ展開に、ヒーローが体を張って活躍するアクション満載で、そういえば最近こういう冒険活劇風のヒストリカルをあまり読んでないなあと思ったり。

 ヒーローは、無責任で向こう見ずなことばかりしている公爵家の三男で、戦死した次男の婚約者だったヒロインに恋したことで、人間として成長していく過程を描いている。ヒロインはアメリカ人で、戦争でアメリカにやってきた英国軍の将校と恋仲になって子供も身籠り、結婚する予定だったのに彼が戦死してしまう。それでイギリスにいる彼の家族に幼い娘の後見人になってもらおうと、はるばる海を渡って来る。亡くなった婚約者の弟を好きになって最初は葛藤するけれど、しっかり者のヒロインとやんちゃなヒーローは相性バッチリで、2人の恋の行方を見守るのが楽しかった。単に放蕩者が改心するという話ではなく、いつも立派な兄と比べられて蔑まれていたせいで、無謀なことばかりして家族をがっかりさせていたヒーローが、愛する人のために責任感のある大人に成長するのが良かった。考えなしに行動してしまうおバカなヒーローだけど、兄に対する劣等感を抱えて傷ついてたりするところが可愛いし、真面目なヒロインを笑顔にさせるお茶目な性格の素敵な男性だった。

 ジョアンナ・リンジーなんかが好きな人なら気に入りそうな内容じゃないかな。しっとり系のロマンスではないと思う。ライムブックスが最近出してる新しい作家(←全部読んでるわけではないけど)の中では面白いほうで、オリヴィア・ドレイクとかより私は好きかな。

 長男の公爵が存在感抜群で、弟たちを成長させるために彼らをうまく操る手腕が凄くて、この公爵のロマンス(←シリーズ4作目らしい)を是非読んでみたいという気にさせられた。最後の最後で衝撃の事実が明らかになってびっくり!次作がものすごく気になる終わり方なんだけど出るかな?

 翻訳で少し気になったのが、登場人物の「秒で」というセリフで、アンタいつの時代の人間だよとツッコミを入れたくなった。ヒストリカルで最近の若者言葉を使うのはやめたほうがいいと思うな。近頃は「真逆」という言葉も普通に使っている翻訳者が多いけど、あれもヒストリカルだと違和感あるわ。

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