ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

公爵の甘美な手ほどき ケイト・ピアース

 この作者は以前、幻冬舎のラベンダーブックスからエロティック・ロマンスのシリーズが出ていたっけ。結構何冊も出ていたから人気があったのかな。あのシリーズは2冊くらい読んだけど、如何せん官能描写に特化した内容で、ストーリー性やキャラクターの魅力がいまひとつだったような。今作は新シリーズで普通のヒストリカル・ロマンスらしい。作者のウェブサイトを見ると、パラノーマルやカウボーイものに、別名義でヒストリカルのミステリーなんかも書いているらしく、エロティカ専門の作家だと思っていたので意外だったけど、そんなに色んなジャンルを書けるなら実は上手い作家なのかも?!とちょっと期待してみる。

 読んでみると、何だかヒロインがあまり好きになれない。継父の借金のカタに公爵のヒーローに身売りされたヒロインが、最初は嫌で逃げ出したのに、気が変わってやっぱり高級娼婦になってお金を稼ぎたいから方法を教えてくれと頼むというのは変な気がする。体の不自由な兄のためにお金が必要で、兄に尽くす健気な妹というテイにはなっているけど、いまひとつ納得いかないなあ。ヒロインが身持ちの良い令嬢だと気付いたヒーローは、娼婦に必要な知識や技術は教えてやるけどベッドをともにする気はない!と言い放ち、なかなか気高い心意気だと思ったら、純潔を奪いはしなくてもかなりきわどいことをあれやこれやと・・・。エロティカではないけどやはりそういう描写が多めで、それはいいとして、ロマンスにおける心の機微を繊細に描写することにおいては、この作者はあまり上手くはないように思う。キャラクターがあまり好みじゃなかったのでロマンスにはそこまで萌えなかったけれど、暗号関連のサスペンスはそれなりに面白く、終盤の盛り上がりは良かった。最初のうちは、娼婦になるとか言い出したりして、思慮の足りないヒロインだなあと思っていたけど、最後に機転をきかせて危機を乗り切るところではちょっと見直した。全体的にはつまらなくはないけれど特別面白いというほどではなかった。扶桑社のヒストリカルではサブリナ・ジェフリーズが一番好きなのに、公爵の探偵団シリーズの途中で刊行が止まってるから、正直、新しい作家よりもそっちを出してほしいんだけど・・・。

公爵の甘美な手ほどき (海外文庫)

公爵の甘美な手ほどき (海外文庫)

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