ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ニューヨークの妖精物語 シャンナ・スウェンドソン

 この作者の魔法製作所シリーズは大好きだったけど、こちらのシリーズは発売された時に電子版を試し読みしたところ、是非ともすぐに読みたいという感じでもなかったので、そのうち読もうと思いつつ後回しにしていた。それでも一旦読み始めたら魔法製作所ほどではないけれど結構面白くて3巻一気に読破。今更ですが感想を。

1作目「ニューヨークの妖精物語」

 最初は、どうしてもヒロインを魔法製作所のケイティと比べてしまい、少々とっつきにくく感じた。超然としていてあまり感情を露わにせず、親近感の沸くタイプではないけれど、読み進めると意外と味のあるキャラクターでこのヒロインも悪くないと思えてきた。

 バレリーナのヒロインは昔から妖精の姿を見ることができて、10代の頃には彼女たちから踊りを習っていた。大人になった今は故郷でバレエ教室の先生をしてる。ブロードウェイでミュージカル女優をしている妹が行方不明になり、妖精のしわざだと直感したヒロインは、妹を助けるべくニューヨークにやってくる。責任感が強く真面目な姉とお気楽な妹という対照的な性格の2人だけどお互いに信頼し合っていて、きっと姉が助けに来てくれると信じる妹と、必死で妹を守ろうとする姉の行動に深い姉妹愛が感じられて、自分にもこんな姉がいたらなあと思わせられた。

 妖精たちが歌やダンスが大好きで、ひと昔前のミュージカル俳優みたいな恰好でパーティばかりしているというのが面白い。自分はファンタジー小説は普段あまり読まないので、妖精に関する伝承とかの知識は乏しいけれど、この作者のファンタジーは世界観がわかりやすく書かれていて読みやすく、すんなり話に入っていける。ヒロインは妹の友人で、妖精にさらわれて行方不明の妻を取り戻そうとしている刑事と知り合うけれど、1巻目ではまだロマンスらしきものはほとんどなく可能性を感じさせる程度だったので、その部分は次巻以降に期待しよう。

 

2作目「女王のジレンマ」

 前作では、少しとっつきにくく感じたヒロインだけど、今作では刑事のマイケルが妖精に連れ去られた妻を取り戻すのを、恋心を隠して一生懸命助けるのが良かった。このヒロイン、本当に良い人だなあ。キャラクターや世界観に慣れてよりストーリーに入り込めるようになり、気づけばヒロインが妖精界のごたごたを解決するのを夢中になって読んでいた。妖精界の覇権争いはなかなか終わらないのね。ヒロインの片思いだけでなく、妖精の男性に恋している妹のロマンスも興味深く、2人の恋の行方が気になって仕方ない。この作者の描くキャラクターは基本的にみんな真面目で誠実なタイプなのが良いな。マイケルも刑事だけど男臭いタイプではなく、牧師の息子で穏やかな性格の優しい男性。妻が行方不明になって7年もたつのにずっと愛し続けているというのが泣ける。ヒロインが惚れるのも納得だわ。読み終える頃にはすっかりこの妖精界のストーリーにハマり込んで次を読まずにいられなくなっていた。 

 

3作目「魔法使いの陰謀」

 またまた人間界で妖精が関与しているらしき事件が起き、バレリーナとして大役を得たばかりのヒロインが事件解決のために奔走する。バレエの公演中に敵が攻撃してきた場面はかなりハラハラさせられた。クルエラ・ド・ヴィルみたいな悪役がいかにもという感じだけど、この敵の正体にはビックリ。ロマンスも少しずつだけど進展していて、このじれったさが良いわあ。恋愛に関しては奥手で古風なヒロインが好きだな。3部作だと思っていたら、まだ続きそうな感じで終わっていて、あとがきによれば作者はもう1作書く予定らしい。続きがあるんだ!と喜んだけれど、2021年現在、まだ原書も出ていないので、いつになることやら。・・ていうかこの作者は今は別のシリーズを書いているし、本当に出るのかな?? 

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