ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ひと目惚れで恋に落ちるには コートニー・ミラン

 The Worth Saga 2作目。読んでビックリ。ヒーローがアフリカ系だった。それからヒロインがバイセクシュアルだという仄めかしが・・。この作者はいつもキャラクターに一癖あるけど、今作はかなり攻めてるなぁ。

 ヒーローは、母親が白人の公爵令嬢で父親が黒人の奴隷解放運動家。主教をしている伯父がいるけれど、彼は黒人と結婚した妹を許せず、妹の息子たちも甥だと認めていない。それでもヒーローは伯父がいつか自分を家族と認めてくれると信じていて、彼に無理な頼み事をされても断れずに聞き入れてしまう。

 ヒロインは伯爵令嬢だけど、父親が反逆罪で有罪になり、親戚の家をたらいまわしにされた末に今は牧師の家でメイドの仕事をしている。どの家もすぐに追い出されていたため誰かに愛されたいと切実に願っている。どうやら彼女はバイセクシュアルらしいけれど、そのことで特に悩んでいる描写はなく、それに関して本人がどう思っているのかはよくわからない。まあ、そこを突き詰めるとストーリーの方向性が変わってしまうのでさらっと流しているんだろうけど、そのせいでつかみどころのないキャラクターになってしまった気がする。愛に飢えた孤独な女性というのはわかるけど、家を追い出された時の心境や、愛を切望するようになった過程が曖昧なので共感するのがちょっと難しい。そのあたりをもっと詳しく書いてくれたら良かったのに。

 ライバルの主教の不正を暴くために牧師の従者になってスパイしろと伯父に言われ、仕方なく引き受けたヒーローは、そこでメイドとして働いているヒロインと出会い、色々あって牧師の悪だくみで無理やり彼女と結婚させられてしまう。強制的に結婚させられた二人は牧師の悪事を暴いて婚姻を無効にするため協力することに。ヒロインは惚れっぽくて最初から彼に気があるけど、強制された結婚ではなく、自主的に自分を選んでほしいと願う気持ちはよくわかる。ヒーローはちょっとナイーブなところがあるけど良い人で、誰にも愛されないと思い込んでいる彼女を勇気づけ励ます優しさが素敵だった。愛されることをひたすら願うヒロインの思いは切なく、姉妹や弟と再会して和解する場面は感動的で良かった。

 訳アリ一族の一癖も二癖もあるキャラクターがこの作者らしく、婚姻を無効にするために協力する2人のロマンスが興味深くて全体的には悪くなかったけど、ちょっと設定を捻りすぎてて(そのチャレンジ精神は評価するけど)そこまでキャラクターに感情移入できなかったのが残念。前作のほうが良かったと思う。

 次作は今作のヒーローの兄が主役で、お相手の女性は上海出身の中国人らしい。今回、ワース家の亡くなった父親に、インド人女性との間に隠し子がいることも発覚したし、C・ミランはこのシリーズに色んな人種のキャラクターを登場させることで、政治的に正しいヒストリカルロマンス(?)を書こうとしているんだろうか??

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM