ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

その雪と血を ジョー・ネスボ

 ジョー・ネスボノルウェーの作家だけど、アメリカでもベストセラーになっているし、世界中で売れている。シリーズものの長編は手を出しにくいけど、これは文庫で200頁くらいの中編なので読んでみた。

 主人公は殺し屋で、ボスの妻を始末するよう命じられたけど、彼女に一目惚れしてしまい助けることに。非情な殺し屋だけど惚れっぽくて女性や子供には親切で、自分が窮地に陥っても好きになった女性を助けようとする優しさが良かった。妙に義理堅いところもあって憎めない。殺し屋としての自分を受け入れていて、ためらわずに何人も殺してきたけど、弱い者を助けずにいられない複雑なキャラクターだった。それにしても結末が切なくて泣ける。最後のほうは現実と空想が入り混じって幻想的なストーリーになっていた。冬のノルウェーの雰囲気が感じられる悲しいクリスマスの物語だった。

 作中「まいどアリゲーター」「また来るクロコダイル」というセリフがあって、これは"See you later, alligator." "After a while, crocodile."というアメリカ人がよく言うダジャレを訳したに違いないので、この作品はノルウェー語版ではなく英語版を元に日本語に翻訳したんだなと気づいた。ノルウェー人がこんなアメリカンなジョークを言うわけないので、英語に翻訳した時に元のノルウェー語のギャグをわかりやすくアメリカの定番のダジャレに置き換えたんじゃないかと思うけど、実際のところはどうなんだろう。翻訳の翻訳だとこういうことがあるからモヤモヤするなあ。

 先日、ポーランドのミステリー「あの日に消えたエヴァ」を読んだけど、ポーランド語の翻訳者が訳していたから、こんなマイナーな言語の訳者もちゃんといるんだと感心したのだけど、ノルウェー語の翻訳者はあまりいないのか、ジョー・ネスボの作品は全部英語版を訳しているみたい。スウェーデン語の訳者はいるのにね。(スカンジナヴィア諸国の言語は似てるから、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語は、同じ言語の方言くらいの違いだと勝手に思っていたけどそうでもないのかな?)

 

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