ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ウサギ狩り人 ラーシュ・ケプレル

 ヨーナ・リンナ シリーズ最新作。有罪判決を受けて服役中のヨーナが警察の依頼で連続殺人を捜査することに。そもそも前作でヨーナが罪を犯したのもエリックを助けるためだし情状酌量の余地はあると思うんだけど、元警官を普通に刑務所に入れるなんて国家警察も鬼畜だな。それでいて困難な事件を解決できるのがヨーナしかいないから服役中の彼に捜査を手伝わせようとするなんて、国家警察のご都合主義にはイラつくけど、そのぶんヨーナの有能ぶりが際立っていて最早スーパーマンみたいだった。

 本作もこれまで同様に残虐な事件でバイオレンスの描写も半端ない。北欧の人はグロ耐性高いのか、腹を裂いて腸を取り出す殺人犯とかほとんどホラーだけど、怖いながらもストーリーに釘付けになって一気読み。スウェーデン外務大臣が殺害され、テロ組織の関与も疑われる壮大な事件の意外な真相をヨーナが鋭い推理で解いていく。刑務所生活を経ても良心を失わず、刑事の勘も衰えず、トレーニングで筋肉ムキムキになっているヨーナが万能すぎて人間離れしている感はあるけれど、そんな彼が正義のために奮闘し凶悪犯と戦うのが爽快だった。

 主要なキャラクターとして出てくるカリスマシェフのレックスはアル中で、ゲイの息子にどう接していいかわからないダメな父親だけど、そんな彼が少しずつ息子に歩み寄っていく親子愛を描いたエピソードもあり、いつもながら盛沢山なストーリーだった。(個人的には、同じヘタレキャラなら前作に出ていたエリックのほうが好きだけど・・)美人警部のサーガも出てきて「砂男」ほどの活躍ではなかったけどカッコいいところを見せていたし、次作も楽しみだな。

 このシリーズは扶桑社になってから毎回訳者が違うけど、今作は英語の翻訳者みたいだから重訳かな?読んでいて英語版を訳したのかなと思わせるふしがあったけどそこまで違和感なかったし、このご時世、翻訳を出してくれるだけ有難いわね。9月は扶桑社がたくさん文庫の新刊を出してくれて豊作だった。

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