ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

愛を知らない君へ メアリ・バログ

 Westcottシリーズ1作目 新シリーズの第一弾だから、ウェスコット一族のメンバーが顔見せ的にぞろぞろ出てきて登場人物多めだけど、いつもどおりのメアリ・バログで心温まる素敵なロマンスだった。

 この作者も割と多作なほうだから、作品ごとにキャラクターに変化を持たせるのも大変だと思うけど、本作のヒーローはちょっと珍しいタイプで、いつも片眼鏡と嗅ぎ煙草を手に貴族らしい物憂げな雰囲気を漂わせている公爵。小柄で細身で一見強そうに見えないけど中国人から教えを受けた武術の達人で、飛び蹴りで相手を倒す凄い技の持ち主。M・バログのヒーローの中では変わり種じゃないかな。でも尊大な態度を身に着けたのも、子供の頃に体が小さく華奢だったために寄宿学校で虐められたからで、怠惰な人間に見せかけて本当の自分を他人に見せないようにしている複雑なキャラクターだった。

 ヒロインは両親を知らずに孤児院で育ち、大人になってからはその孤児院で教師として働いている。孤児という設定には涙腺を緩ませるものがあり、家族の愛を知らずに育ちながらも健気に生きている彼女に感情移入してウルっときてしまった。孤児だと思っていたけど実は貴族とつながりがあることがわかり、親戚に世話を焼かれて社交界にデビューするシンデレラストーリーはヒストリカルロマンスでは割と定番だけど、しっかり者で人に流されないヒロインのキャラクターが清々しくて良かった。

 ロマンスは、ヒーローが割と衝動的に求婚してさっさと結婚してしまったけど、結婚後の蜜月期間はお互いにラブラブで、甘いロマンスを求める人も満足すると思う。ヒーローのことをあまりよく知らないまま結婚してしまったヒロインが、彼のことを知るにつれて愛が深まるのが素敵だった。ウエスコット一族は興味深いキャラクターが多くてシリーズの今後が楽しみだな。

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