ヨーナ・リンナ シリーズの未読だった2、3作目を読んだ。もう絶版になっているので古本を購入したけど、これは絶版にしておくにはもったいない面白さ。復刊すればいいのに・・。
「契約」は、武器輸出に関わるスケールの大きな犯罪を暴くストーリーで、シリーズで一番面白かったかも。いつもより若干グロさ控えめの壮大なサスペンスで風格を感じた。コンサートの写真であんな風に謎を解くなんて鳥肌立ったわ。ヨーナ・リンナ警部の目の付け所が鋭すぎて神懸ってたし、天才バイオリニストの知識に脱帽。すごいストーリーだった。そしてこれまで翻訳者さんがこの作者の美麗な文章を絶賛しているのがピンと来なかったけれど、これは確かに比喩の描写が文学的で美しく、文章の上手さが際立っていたと思う。(でもこのシリーズでちゃんと元のスウェーデン語から訳しているのは1作目と2作目だけで、それ以降はたぶん重訳だから、原文の美しさをどれだけ伝えられているかわからないよね。)
「交霊」は霊能者が出てくる話ということで、霊視で事件を解決するようなストーリーだったら嘘くさくて嫌だなあと思っていたのだけれど、何と出てきたのはインチキ霊能者だった!適当に嘘を言って捜査を攪乱させるだけのキャラクターかと思いきや、意外にも事件の鍵を握っていてビックリ!そういうことだったのか!!と納得。非常に良く出来たストーリーで面白かった。捜査が打ち切りになっても子供たちを探すのを諦めないヨーナ・リンナ警部はまさに正義のヒーローだわね。それにしてもこのシリーズ、睡眠薬を常用してるキャラクターがやたらと出てくるけど、スウェーデン人て睡眠に問題を抱えてる人が多いのか?
最近北欧ミステリーをいくつか読んだけど、このシリーズが一番面白かった。夫婦で書いてる作家なので、女性の視点も入っているから良いのかもしれない。スウェーデンの人名にも慣れてきたし、すっかりスウェーデン通になった気分だわ。
契約 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラーシュ・ケプレル
契約 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラーシュ・ケプレル
交霊 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラーシュ・ケプレル
交霊 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラーシュ・ケプレル