ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

傷だらけのカミーユ ピエール・ルメートル

 ヴェルーヴェン警部シリーズ3作目。「その女アレックス」と比べるとやや地味な印象だけど(何しろ「アレックス」は並外れたインパクトのあるストーリーだったので)これも面白かった。

 まずはいきなり部下のアルマンが死んだことになっていてかなりショック。「アレックス」の最後で警部のためにしたことがとても思いやりに満ちていて、何て良い奴なんだ!!と感動したのに癌で死んじゃうなんて悲しすぎだよ・・。警部は奥さんの死を乗り越えて新しい恋人が出来たというのに、その恋人が強盗に襲われてしまい、彼女のために犯人を逮捕したくて、知り合いであることを隠して強引に事件の担当になるけれど、それは単純な強盗事件ではなくて・・・というストーリー。

 繊細で優しく弱い者を助けずにいられない人だから、その優しさにつけ込まれて窮地に追い込まれていく警部。このシリーズは警察小説にしては若干ウェットなところがあるのでヴェルーヴェン警部に感情移入しまくりだった。犯人も頭が良く、そのずる賢くて汚いやり口に怒りを覚えながらも感心してしまった。悪役がアホだとつまらないけど、これだけ警察と渡り合える犯人だと面白いわ。

 終盤に犯人の正体がわかってからは、警部と犯人の攻防から目が離せない展開で、ハラハラしながら読んでいた。警察を辞める決意で自分の決意を貫く警部が感動的でねぇ。ヴェルーヴェン警部、優しすぎるよ・・。彼の孤独を浮き彫りにするエンディングが泣けた。事件は解決したけど、警部の払った犠牲に心が苦しくなる。胸に迫るストーリーが良かった。

 

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