A・ホロヴィッツは翻訳ミステリーのランキングで毎年1位に入っている人気作家。実名で自分を主人公にしてミステリー小説を書くというのは面白い試みだと思う。スピルバーグの映画で脚本家の候補になったとか、ロード・オブ・ザ・リングの監督と知り合いだとかいう自慢話が入ってたり、さりげなく自分の著書の宣伝してたりするのがちょっと鼻につくけど、ミステリーはさすがに良く出来ていて面白かった。
ノンフィクションを書こうとしている作家が主人公のフィクションという一風変わった設定で、元警部で今は警察のコンサルタントをしているホーソーンに、捜査中の殺人事件についての本を書かないかと持ち掛けられたアンソニーは、最初は断るつもりだったけれど事件に興味を惹かれて引き受け、捜査に同行することに。殺人事件はフィクションだけど、作者の仕事関係のエピソードは事実に基づいていて、現実と虚構をうまくミックスしたやけにリアルに感じられるストーリーが面白いと思った。
ホーソーンとアンソニーはまさにホームズとワトソンのような関係で、捜査では鋭い勘を発揮するけど変わり者のホーソーンと常識人のアンソニーというコンビが良かった。この作者はコナン・ドイル財団に公式に認められてホームズの続編を書いているのよね。(作中でも宣伝していた。)シャーロック・ホームズは子供の頃好きで、5~6年生の時に学校の図書室にあったシャーロックホームズ全集を全巻読破した覚えがある。今度「絹の家」も読んでみようかな。