ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

墓から蘇った男 ラーシュ・ケプレル

 ヨーナ・リンナ シリーズ7作目。ヨーナと宿敵ユレックとの闘いはまだ終わっていなかった・・・。まあ、死んだと見せかけて実は生きているパターンだと、シリーズの読者なら当然察しがついていただろうけど。いつもながらバタバタと人が死にすぎて鬱になるストーリーだけど面白い。

 ユレックが生きていたとわかり、娘を守るためにヨーナはスウェーデンから逃走。娘が大切なのはわかるけど、ユレックの捜査は他の捜査官に任せっきりでいいのか?!ヨーナが留守の間、かわりに美貌の女性捜査官サーガが捜査を進めるけれど、強敵ユレックを相手に大苦戦。やることなすこと裏目に出て、精神的に追い詰められていく様子がリアルだった。相手を心理的に動揺させ操ろうとするユレックの手口が本当に恐ろしい。サーガの家族構成や母親を亡くした過去が明らかになり(妹がいたなんて知らなかったわ。これまで出ていなかったよね?)彼女の特異なキャラクターに関する理解が深まって良かった。後半はヨーナも捜査に加わるけど、地図に星座の配置をあてはめて場所を推理するのは少々ご都合主義な気がしないでもなく、この作者にしては謎解きがやや凡庸だったように思う。それでも敵のキャラクターは迫力満点でサスペンスの緊迫感は尋常ではなかった。やたらと長いしグロいけど、その猟奇的で猥雑なところがこの作者の持ち味なので、そうでなかったら逆に物足りない。長くても読ませる勢いのあるストーリーだった。

 陰鬱で暗いのが北欧ミステリーだとは言え、この救いのないラストは悲しすぎる。こんなにやるせない結末とは・・・。本作でのサーガは踏んだり蹴ったりで気の毒すぎた。彼女の行く末が気になるわ。翻訳者は次作で完結と解説に書いていたけど、原書の情報を見る限り8作で終わりではなさそう。

 

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