ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

償いは、今 アラフェア・バーク

 殺人容疑で逮捕された大学時代の元カレを弁護することになったアラフォーの女性弁護士が主人公のリーガル・スリラー。ヒロインは昔ひどい別れ方をして優しい彼を傷つけてしまったことを申し訳なく思っていて、その償いができればと弁護を引き受けたのだけれど、絶対に無実だと思っていた彼に不利な証拠がどんどん出てきて、自分は本当に彼のことを知っていたのだろうかと疑いを持ち始める。元カレはもしやサイコパスなのでは・・と疑心暗鬼に陥っていくヒロイン。スリリングなストーリーが面白かった。

 元カレが容疑をかけられた状況がなかなか複雑で興味深かったし、かなりドロドロにもつれていた過去の恋愛関係もメロドラマのような俗っぽい面白さがあり、二転三転するストーリーにどんどんページを捲ってしまった。(ただ最後に明らかになった真相はちょっと捻りすぎて、若干無理があるような・・。)やや性格に難があって恋愛が長続きしないヒロインだけど、完ぺきではないそのキャラクターが良かった。脇役も個性があったし、読みやすくまとまっていて割と上手い作家だと思う。

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 内容はとても面白かったけど翻訳がいただけない。ヒロインが、相手が男だろうと女だろうと若かろうと年上だろうと、みんなに「きみ」と呼びかけてタメ口をきいているのがものすごく違和感があった。名門大学のロースクールを出ている敏腕弁護士なんだから、もっと洗練された口調に訳すべきだと思う。男性が話しているみたいであまりにも変だから頭の中で「きみ」を「あなた」に変換しながら読んでたわ。「失われた瞬間」(原語は多分 missed moment)という訳もなんだかなあ。このmomentは機会とか好機の意味だからもっとマシな訳し方があるだろうと。調べてみたら以前読んだスチュアート・タートンの「イヴリン嬢~」と同じ訳者だったけど、あれも翻訳がかなり読みにくかった覚えがある。この訳者さんはイマイチだわ。

 

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