ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

天使と嘘 マイケル・ロボサム

 実は以前この作者の「生か、死か」を購入したものの読みかけでずっと放置したままになっていて、新作に手を出すのをためらっていたのだけれど、本作は臨床心理士のサイラスと嘘を見抜く能力があるという孤児のイーヴィのコンビが殺人事件の謎を解くストーリーとのことで、内容も違うし面白そうなので読んでみた。

 シリーズ1作目なので、序盤は登場人物の紹介的な内容になっていて展開がややスローな感じがした。この作者はキャラクターの描写が丁寧で良いのだけど、最初から緊迫感のある展開で引き込むという感じではなく、エンジンがかかるのがちょっと遅いという印象。児童施設に収容されているイーヴィの複雑な過去や、サイラスとの交流、彼が里親になることを決断し、家に迎え入れる過程が書かれ、不良少女が徐々に心を開いていくYA小説っぽさもある。これはイギリスのノッティンガムが舞台になっているけれど、イギリスでは本当に独身男性が18歳の女の子の里親になれるのかしら。善意からしていることであっても怪しく思われそう。実際、終盤にはイーヴィがサイラスに恋心めいたものを抱いて少々マズイことに。サイラスはなかなかのイケオジだしねぇ。読んでいてイーヴィってちょっとミレニアムのリスベットっぽいような・・と思ったら、翻訳者さんもあとがきにそう書いていた。まあ本作ではタトゥーまみれなのはサイラスのほうだけど。

 フィギュアスケートのチャンピオンの少女が殺害された事件のほうは、それほど意外性はなく、容疑者が浮上するたび、コイツは真犯人ではないなというのが割とバレバレだったけど、純真そうに見えた少女に裏の顔があったという展開には興味を引かれたし、終盤はかなり緊迫した状況になりハラハラさせられ面白かった。(ただ、被害者がフィギュアスケーターということで、選手の実態とかが詳しく書かれていたら面白かったと思うんだけど、あまり大したことは書かれていなくてフィギュア選手である必然性はあまりなかったように思う。)基本的にはサイラスとイーヴィのキャラクターがメインの小説で、そこに殺人事件が付加されているという感じ。イーヴィには壮絶な過去があるけれど、その全貌はまだ明らかになっておらず、これから徐々に明かされていくんだろうね。そして読者は気になって続きを買ってしまうのよね。

 

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