ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

会員制殺人サイト ピーター・ジェイムズ

 2006年にイギリスで刊行された小説が昨年ドラマ化されて、日本でもAXNミステリーで放映中とのこと。→警視グレイス | AXNミステリー 日本で翻訳が出た当時はあまり話題にならなかったらしいけど、読んでみるとドラマ化されただけあって面白かった。

 この作者は元々はホラー小説を書いていたそうで、これもスナッフフィルムにまつわる事件を題材にしたかなりグロい内容ではあるものの、思った以上にキャラクター描写に力の入った本格的な警察小説だった。上下巻で700頁のボリュームがあり、長いのは登場人物の私生活のエピソードが多めに入っているためで、その辺は好みが分かれるかもしれない。主役のグレイス警視の恋愛話まで書かれていて、くたびれたオジサン刑事になぜか一回りくらい若くて美人の恋人が出来たりする。いいオジサンがデートの前に同僚のアドバイスでイケてる服を買い漁り、めかし込んでいるのが笑えた。彼女に実は婚約者がいるとわかって奈落の底に突き落とされたと思ったら、もう婚約は破棄したとわかって舞い上がったり、かなり凄惨な事件の捜査中にラブコメみたいなエピソードが差しはさまれているのには少々違和感があったけど、まあこれはこれで面白いんじゃないかな。ドラマの俳優さんはだいぶ年配に見えるけど、この小説ではグレイス警視は39歳の設定なのでラブシーンも許容範囲か?!

 被害者夫婦も、奥さんがアルコール中毒買い物依存症だったりとなかなか複雑な家庭事情がホームドラマっぽいし、捜査にあたる警察のチームも大人数ながら、それぞれのメンバーにそこそこ見せ場があり、登場人物がかなり多いのに読みやすくまとめているのは流石だと思った。書かれている事件はそれほど目新しいものではないけれど、構成の上手さと個性的なキャラクターで読ませる良作だと思う。

 

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM