ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

スケアクロウ マイクル・コナリー

 M・コナリーは「リンカーン弁護士」の映画を見てから注目するようになった作家で、デビュー当時はあまり目に留めていなかったな。当時は同じ頃にデビューしたパトリシア・コーンウェルのほうが人気があったように思う。(コーンウェルは私も昔よく読んでいた。)そうこうするうちにハリー・ボッシュのシリーズがドラマ化されて、最近リンカーン弁護士Netflixでドラマの配信が始まったのよね。(ドラマは見ていないけど、ミッキー・ハラー役は映画版のマシュー・マコノヒーのほうがいいなあ・・。)

 本作にはハリー・ボッシュは出ていなくて、新聞記者のジャック・マカヴォイが主役。みんながインターネットでニュースを読むようになって新聞の売り上げが激減し、リストラで古株の記者が大量に解雇されることになり、ジャックにも通達が。退職するまでの間に後任を教育しろと言われ、新人に仕事を教えていたら、その新人がネタを横取りしようとしたり、記者の世界も大変なのね。作者自身が昔記者だったそうで、新聞社の様子がものすごくリアルに描かれていて面白かった。

 ジャックは、ある殺人事件で逮捕された容疑者が冤罪であることを突き止め、連続殺人犯の存在に気付いたことで、犯人から命を狙われてしまう。危険が迫っている時でさえ記事を書くことを考えているのはすごい記者魂だと思った。おぞましい性的倒錯者の犯人は頭の切れる凄腕のハッカーでもあり、ジャックは追い詰められ、もう少しで殺されるところだったけれど、FBI捜査官のレイチェルが助けにやってくる。2人は昔一緒に事件の捜査をしたことがあり、その時に関係を持っていて、その後別れてしまったけれどジャックはずっと彼女のことを忘れられずにいたらしい。「きみを乗り越えたことは一度もないとしたら?」なんて告白したりして、あらやだロマンティックじゃないの。物書きだけあって素敵なセリフを言うのね。これは是非2人が出会うきっかけになった事件を描いた「ザ・ポエット」を遡って読みたいところだけど、絶版になっているので扶桑社さんが電子書籍で復刊してくれないかしら。

 「コナリー史上最も不気味な殺人犯」という宣伝文句の割にはそこまで怖くなかったけれど、IT技術に長けた知能犯の敵との対決がとても面白かったし、主人公のジャックのキャラクターも気に入った。レイチェルのキャラは男性読者にはあまりウケないのか、巻末の解説の人が「男を不快にするような気質の女性」とか「彼女と関わった男は皆不幸になる」とかクソミソにけなしていて笑った。本作を読んだ限りでは、FBIの規則に違反してでもジャックを助けに駆けつけたりして、そんなに悪くなかったと思うけどなあ。ツンデレ女なのは確かだけど・・。

 ちょうど最新作の「警告」の主役がジャックなので、次はそれを読もうかな。

 

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