ロマンス小説感想日記

翻訳ミステリー&ロマンス小説感想日記

海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

堕ちた刃 サンドラ・ブラウン

 S・ブラウンの14年位前のロマサス。これはあらすじを読んだ限りでは設定が微妙な気がして、長いこと積んだままになっていたのよね。

 最初はこんなろくでなしがヒーローなのかと唖然とした。グリフはプロのアメフト選手で実力もあったのに、金遣いが荒くギャンブルで借金をこしらえて、それを清算するために試合で八百長をして、違法賭博で刑務所に入っていたという。刑期を終えて出所すると、航空会社経営の金持ち夫婦の夫から、自分は下半身不随で子供が作れないので、代わりに妻を妊娠させてくれたら高額な謝礼を払うと持ち掛けられ、ムショ帰りで仕事もなくお金に困っていたグリフは引き受けることに。自分の妻に他の男とやらせるなんてイカレてるとか憤慨してたけど、それを引き受けるオマエモナーとツッコミを入れてしまったよ。

 これほどのダメ男がどう巻き返しを図るんだろうと好奇心をそそられ読んでいたけど、上巻では、出所した時からグリフをつけ回している野蛮な男が、グリフ本人だけでなく彼の知り合いにまで害を及ぼしたりして、まわりの人に迷惑かけまくりのグリフにあまり良い印象がなかった。下巻に入ると色んなことが徐々に明らかになり、終盤は作者もヒーローをアゲるモードになって、そんなに悪い奴じゃないんだよ!と必死でフォローしている感じがした。(八百長の真相とかは、かなり無理やりな気がしたけど・・。)こういうストーリーでは、ダメ男の魅力をどこまでUPさせられるかがロマンス作家の腕の見せ所よね。

 概ねあらすじから想像したような内容で、衝撃の展開もあったけど、読者をうまくミスリードしたというよりも、単に事実を明らかにするのを後らせたという感じで、この作者比ではそこまで凄いどんでん返しはなかったように思う。それでもロマサスとしては十分よく出来ていて楽しく読めた。この作品は「妻を妊娠させてくれ」をきっかけに始まるロマンスを面白いと思えるかで評価が分かれると思う。私はそこにあまり萌えを見い出せなかったのでやや評価低めかなあ。

堕ちた刃 上 (集英社文庫)

堕ちた刃 上 (集英社文庫)

堕ちた刃 下 (集英社文庫)

堕ちた刃 下 (集英社文庫)

Play Dirty: A Novel (English Edition)

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  • Brown, Sandra
  • Simon & Schuster