イギリスの作家が書いたスパイもので、派手さはないけどアクションよりもサスペンス重視のストーリーが自分の好みに合っていて面白かった。原書は現時点で8作目まで刊行されている人気シリーズで、ゲイリー・オールドマン主演でドラマ化されてApple TV+で配信中。面白い小説はたいてい映像化されているよねぇ。
英国保安局(MI5)には、任務で失敗したり、アルコールや麻薬やその他諸々の問題を抱えた局員の左遷先として知られる「泥沼の家」という部署があり、出世コースを外れた通称「遅い馬」たちが毎日つまらない仕事をさせられている。ところが国を揺るがすような恐ろしい誘拐事件が起き、「泥沼の家」のメンバーが事件の解決に乗り出すことに。捜査をするうちに驚くべき陰謀が明らかになって・・・というストーリー。掃きだめのような部署で働く落ちこぼれたちが奮起して人質救出のために奔走するという展開にワクワクさせられた。事件の黒幕が実に卑怯な奴で、憎たらしくて腹立たしくて、自然と「遅い馬」たちに肩入れしてしまうのよね。イギリスらしい皮肉の効いたユーモラスな作風も良かった。
ストーリーは凄く面白いんだけど、構成で若干気になるところはあった。メンバー紹介的なエピソードが多く(しかも人数多いし)展開が若干スローに感じたのは1作目だから仕方ないとして、場面の転換が多く、切り替わりが唐突で少し読み難く感じたし、状況があまり変わっていないのに誘拐の被害者の場面が頻繁にあってテンポが良くない気がしたかなあ。
上司のジャクソンは部下に嫌味しか言わない超ひねくれ者だけど、この癖の強すぎるキャラが面白いのよね。若手捜査官のリヴァーもなかなか頑張ってたし、変人の寄せ集めみたいな「泥沼の家」のメンバーそれぞれが良い味出していた。2作目のほうがゴールド・ダガー賞を受賞していて評価が高いみたい。
ドラマは見ていませんが、第2シーズンも配信予定とのことで好評らしい。