ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

56日間 キャサリン・ライアン・ハワード

 コロナ禍のロックダウンの状況をうまく取り入れた殺人ミステリーで割と面白かった。序盤はboy meets girl 的な恋愛ものみたいだけど、男性も女性も何やら隠し事があって、どこか不穏な空気が漂っている。孤独な2人の男女が恋に落ちる過程が丁寧に描かれていて、付き合い始めたばかりのカップルの心情をよく捉えていたと思う。

 同じ出来事を別の人物の視点で書いたエピソードが後で出てきたり、時系列を行ったり来たりする構成を活かして、少しずつ謎を解き明かしていくのが上手いと思った。派手な展開はなく、そこまで起伏に富んでいるわけではないけれど、静かな緊張感が持続するストーリーが良かった。

 終盤は意外な展開の連続で、二転三転するストーリーにのめり込んだ。そこまで凄いどんでん返しではないけれど、良く出来たミステリーだと思う。オリヴァーもキアラも疑惑に満ちたキャラクターで、相手を恐れながらも惹かれ合い、張り詰めた雰囲気の中、恋愛関係に陥っていくのがスリリングで良かった。

 文庫の帯にカリン・スローターとクリス・ウィタカー、アリス・フィーニーの絶賛コメントが載っているけど、その3人の中では、アリス・フィーニーの作風に近いかな。あとがきによれば、この作者の"The Nothing Man"も近々新潮文庫で刊行予定とのこと。

56日間 (新潮文庫 ハ 59-1)

56日間 (新潮文庫 ハ 59-1)

  • キャサリン・R・ハワード
  • 新潮社
56 Days: A Thriller (English Edition)

56 Days: A Thriller (English Edition)

  • Catherine Ryan Howard
  • Blackstone Publishing

 

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM