ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

罪責の神々 マイクル・コナリー

 リンカーン弁護士シリーズ。ミッキーは地区検事長に立候補したものの選挙に敗れ、また刑事弁護士をしているという設定。そしてコナリー先生は主人公を不幸にしないと気が済まないらしく、ミッキーが弁護して釈放させた飲酒運転常習者が娘の友達とその母親を撥ねて殺してしまい、父親を許せない娘に拒絶され、会うこともできなくなってしまったという。娘が校庭でサッカーをしている姿を遠くから眺めているミッキーが切ないけど、感傷的になりすぎることなく、さりげなく哀愁を漂わせたキャラクター描写は流石だと思う。

 今回の被告は娼婦を殺した容疑で逮捕された男性で、売春婦のためのウェブサイトを運営し、手数料として稼ぎの分け前を貰うという胡散臭い仕事をしている。「デジタル・ポン引き」とか言われてて笑った。でもオタクっぽくて弱々しいゲイの男性で、誰かに嵌められ罪を着せられたようで、無実の被告を助けなければと張り切るミッキー。殺された娼婦が昔何度か弁護したことのある依頼人だったとわかり、彼女のためにも真犯人を見つけようとする。

 事件はかなり複雑で面白かった。麻薬の売人が絡む別の訴訟を利用して真犯人をおびき寄せ、被告の無実を証明しようとする入り組んだ作戦で、危険人物を敵に回したせいで人が死んだり、なかなか凄いことになっている。弁護の手法がちょっと回りくどくて、中盤、陪審員はこの説明でちゃんと真実を見抜けるんだろうかと思うところもあったけど、終盤はショッキングな展開に驚愕。手の込んだ策略が必要な難しい事件で、読み応えがあり良かった。

The Gods of Guilt (A Lincoln Lawyer Novel Book 5) (English Edition)

The Gods of Guilt (A Lincoln Lawyer Novel Book 5)

  • Connelly, Michael
  • Little, Brown and Company

 

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