ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

魔力の女 グレッグ・アイルズ 

魔力の女 (講談社文庫)

魔力の女 (講談社文庫)

 

 作者曰く、これは"常軌を逸した小説"だそうで、真っ当なサスペンスではなく超常現象ものだった。ヘンテコな設定にしてはそこそこ面白かったけど、やっぱり普通のサスペンスのほうがいいなあ。 

 主人公のジョンは油田を発掘する事業を手掛けている実業家で、妻が2人目の子供を流産してから夫婦仲がギクシャクしてはいるけれど、家族を大切にしている。ところがある日、セクシーな美女が現れ彼を誘惑し始める。彼女は死んだはずの昔の恋人マロリーしか知らないはずの秘密をほのめかし、自分はマロリーだと主張する。彼女の誘惑に屈して関係を持つと、とんでもないことが起きて・・・というストーリー。

 超常系にするならもっとホラーに振り切ったほうが良かったと思うのよね。妙ちきりんな設定の割に、真面目なサスペンスっぽい展開だったりしてちょっと中途半端な印象。それでも主人公が一体どうなってしまうんだろうと気になって、気付いたら最後まで読んでいた。結末は無理やり丸く収めた感じでちょっと納得いかないな。こういうのは思いっきりゾッとするようなバッドエンドでいいのに。まあいつもと違うものを書こうとした作者のチャレンジ精神は認めるけど。この系統なら、サラ・ピンバラの「瞳の奥に」のほうが面白かったな。

ネタばれ

 妙な設定というのは、死んだ恋人の魂が次々と色んな人に憑依しているというもので、性行為の最中、オーガズムに達した時に相手に憑依するという仕組みらしい。そんなギャグみたいな設定・・・。結局一番酷い目に遭ったのは主人公の奥さんだというのも何だかなあ。 

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