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裏切りの晩餐 オレン・スタインハウアー

裏切りの晩餐

裏切りの晩餐

All the Old Knives: A Novel (English Edition)

All the Old Knives: A Novel

  • Steinhauer, Olen
  • Minotaur Books

 

 O・スタインハウアーはスパイものでは定評のある作家らしい。「ツーリスト」が代表作みたいだけど、シリーズもので長いので単独作のこちらを読んでみることに。これも原書がAmazonのBest Books of the Yearに入っていたし、クリス・パイン主演で映画化されているので(prime videoで配信中→オールド・ナイフ ~127便の真実~)面白いかなと。

 スパイものと言ってもアクションはほとんどなく、会話がメインのサスペンス。過去のテロ事件に関する調査で、CIAの職員が聞き取りのためにある女性の元を訪れる。彼女は以前CIAで働いていたけれど、今は危険な仕事からは足を洗って普通のビジネスマンと結婚し、2児の母となって穏やかな生活を送っている。やってきたのはCIA時代に付き合っていた元恋人の男性で、2人がレストランで食事をしながら語り合ううちに、過去の事件の真相が明らかになっていくというストーリー。

 映画は見ていないのでわからないけど、どちらかというと地味で映像化にはあまり向いていないような気がしたな。でも小説としては面白かった。派手なアクションはないけど緊張感のある会話に引き込まれたし、終盤の展開が衝撃的で、この結末だけでも読む価値はあると思った。元恋人同士でも、男性のほうはずっと別れを引きずって彼女のことを忘れられずにいるのに、女性はさっさと過去を切り捨て、新しい人生を歩んでいるのが対照的で、考えさせられるものがあった。恋は人を狂わせるものなのね・・。この男性には憐みを感じるけど、女性の言い分ももっともで、子供の可愛さに比べたら恋愛なんて色褪せてしまい、昔の恋人なんて忘却の彼方に押しやられてしまうものよね。別れたカップルの再会が恐ろしい結末を迎えるショッキングなストーリーだった。

 レストランでの会話に過去の回想が差し挟まれている構成で、静かなサスペンスという感じだけど、短くまとまっているのでそれほど間延びした感じもなく読みやすかった。アクション系を好む人には向かないだろうけど、毛色の変わったスパイもので、これはこれで面白いと思う。

 

 最近は動画配信サービスが乱立状態で映画やドラマがどんどん製作されているから、小説が映像化される機会も増えているわよね。最近見たNetflixの"ナイト・エージェント"は良かった。以前から小説を読もうかなと思っていたところにドラマの配信が始まったので試しに見てみたら、まだ下っ端の主人公が思いがけず大きな陰謀に巻き込まれ奮闘するストーリーが予想以上に面白く、結局全話見てしまった。(主役の俳優が大根なのが玉に瑕だけど・・) 速攻で次のシーズンの製作が決まったくらい評判も良いみたい。prime videoの"ターミナル・リスト"より気に入ったわ。

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↑小説はホワイトハウスにロシアのスパイがいるという設定らしいけど、ドラマは内容が改変されていた。最近のスパイものって、ロシアが実際に戦争中で触らぬ神に祟りなしってことなのか、敵がロシアという設定を避けている気がする。

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