ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

奪還 リー・チャイルド

 

 ジャック・リーチャーのシリーズは、以前トム・クルーズの映画2作は見たけど小説は未読だったので、人気作家だし1冊くらいは読んでおこうかなと。小説だとリーチャーは金髪に青い目で195cmの長身なのか。T・クルーズはだいぶイメージ違うわね。私は見ていないけどprime videoのドラマの俳優のほうが体が大きそうだし原作のイメージに近いのかな?

 これはシリーズ10作目だけど、そもそも作者は時系列に沿って書いていないので、順番はあまり気にしなくて良いみたい。長く続いているシリーズを遡って読むのは大変だから、どれから読んでもOKなのは良いわね。

 民間軍事会社の社長から、誘拐された妻を見つけてほしいと依頼され、リーチャーが捜査するというストーリーで、よくある誘拐事件かと思ったら複雑な事情があり、捜査も一筋縄ではいかず、これは面白そうだと読み始めたんだけど、割と早い段階でこの誘拐のカラクリが読めてしまったのよね。だからあとは本当に自分の予想どおりなのか確かめるために読んでいたようなものでイマイチ楽しめなかったわ。これはミステリーをよく読んでいる人ならある程度結末の予想がつくんじゃないかしら。推理力抜群のはずなのに真相を見抜けず迷走しているリーチャーに、早く気付けよ!と思いながら読んでいたので、終盤になってやっと真相に気付いて、「見抜くべきだった。」と言っている彼に、本当だよ!と文句を言いたくなったわ。

 この1作しか読んでいないのでリーチャーのキャラクターを掴みきれていないけど、意外と女好きで、本作でも元FBIで今は私立探偵のだいぶ年上の女性と良い仲になっていたわね。なぜ若い女性でなく自分を選ぶのかと彼女に聞かれて、「わたしは変人だからだ。」と答えていたのに笑った。失礼な奴だな。

 アクションメインかと思ったら、意外と謎解き重視の内容で、そこは自分の好みに合っていたんだけど、肝心の謎解きがイマイチで展開が読めてしまったのが残念だった。アフリカで捕虜にされた兵士の境遇が恐ろしすぎて、そのエピソードが一番印象深かったわ。やはり民間軍事会社なんて碌なものじゃないわね。

 1997年に原書の1作目が刊行されてからずっと続いていて28作目が今年秋にアメリカで刊行予定という息の長いシリーズだけど、25作目からは弟のAndrew Childと共著になっているのよね。弟も作家で本名のAndrew Grant名義で小説を書いていたけどあまり売れていなくて、実際のところ、作家を引退する兄が弟に自分の人気シリーズを引き継がせて、共著ということになっているけど実質弟が書いているらしい。ベストセラー作家の兄が、売れてない弟に稼がせてやろうという美しき兄弟愛・・なのか??

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