この作家は、日米ハーフの暗殺者ジョン・レインのシリーズが有名だけど、これは別のシリーズ。次作が翻訳されていないところを見ると、あまり人気がなかったのかな?私は面白いと思ったけど。古い作品で今更読む人も少ないかと思い、以下ネタバレしていますのでご注意を。
弁護士のアレックスは、クライアントが開発した暗号化ソフトの価値を見抜き、彼のために投資者を見つけ、代理人として特許の申請を手伝っていた。それは画期的なソフトで莫大な利益を産むはずだったけれど、その開発者が殺害され、アレックスの家にも侵入者が。何か恐ろしいことが起きていると感じた彼は、軍人で特殊部隊の工作員をしている兄のベンに助けを求める。
サスペンスは面白いけど、この兄弟、仲が悪すぎでしょう。過去に家族に起きたことで色々と確執があるのはわかるけど、任務で海外にいたベンが弟を助けるためにはるばる駆けつけてくれたのに、アレックスは感謝もせず文句を言ってばかり。確かにベンは威圧的で感じ悪いところはあるけど、ここまでいがみ合わなくてもいいのに。兄弟の仲が険悪すぎて、読んでいてうんざりさせられるせいで、面白さが損なわれているのがもったいない。
アレックスの補佐をしている弁護士のセイラはイラン系の超美人で、アレックスも密かに彼女に思いを寄せている。彼女も暗号化ソフトの案件を手伝っているので危険が及ぶ可能性があり、ベンは弟だけでなく彼女のことも守る羽目に。そしてベンも彼女に魅力を感じて兄弟で三角関係になるという。イケメンの弁護士とワイルドな軍人にモテちゃうなんて役得ね~と思いつつ、この兄弟だったらやっぱり兄だよねぇ。危険な雰囲気をまとい、屈強で戦闘能力に優れ、しかもめくるめく喜びを感じさせてくれるって、ロマサスのヒーローか?!
アレックスの兄に対する態度にはイラっとさせられることが多かったけど、終盤は活躍して危機を救い、美味しいところを持っていったわね。兄とも和解して好感度アップ。(もっと早く仲直りしてくれれば良かったのに。) 暗号化ソフトをめぐる陰謀がとても面白かったし、ロマンスもあるのでロマサス好きな女性の方にもおすすめです。