第二次世界大戦中のイギリスが舞台だけど、クリスティン・ハナの「ナイチンゲール」やケイト・クインのような真面目なヒストリカル・フィクションではないので、重すぎず気楽に読めた。ラブコメっぽいコージーミステリーで、美人なヒロインがイケメン2人と三角関係になる展開が楽しかったし、ドイツに機密文書を渡そうとしているスパイを阻止するサスペンスも面白かった。
主人公のエリーが美人で有能で度胸があり、家族思いで男性にもモテて、というのはちょっと出来すぎな気がするけど、ハイスペックなヒロインが活躍するストーリーはやはり楽しくて良いわね。彼女が一緒に仕事をすることになるラムゼイ少佐も長身でハンサムでお金持ちという、ロマンス小説のヒーローのような男性だし、コージーミステリーだけどロマンス寄りの設定だと思う。2人でお金持ちの新聞王の家で開かれたパーティーに潜入して、部屋を探っている時に見つかりそうになり、逢引きしていた振りをしてソファに倒れ込む場面なんて、リンダ・ハワードか!?と思わず突っ込んでしまったわ。(確か「青い瞳の狼」にそういう場面があったのよね。もちろんリンダのほうがずっと濃厚だけど。)
ミステリーもそこそこ良く出来ていて犯人捜しも面白かったけど、ラブコメとしても楽しめる作品だと思うので、ロマンス好きな読者の方におすすめ。